昔はあんなにスリムだったのに、今じゃふかふかのたぬき君です。シュウ君。
子猫の頃の日記をちょっとアップ。ほんの子猫の頃の話です。




子猫のシュウは三ヶ月半。そろそろ外の世界に興味が出てきた。で、手始めとばかりにお隣のベランダへ行こうとする。もちろん、人様に迷惑かけられないので、手すりぞいにスノコの壁をつくり、更にトゲトゲ観葉植物を置いてシュウの野望を阻止し、それは見事に成功していた。

でも、今朝もまた、シュウは隣へ行こうと挑戦している。

「あ〜、無駄無駄〜。」

オレは余裕で笑って洗濯物を干していた。ふと見るとシュウがいない。

まさか…

慌ててスノコごしに隣をみると、手すりの上でびみょーなバランスをとっているシュウがいる。

「シッシュウッ。」

振り返ったシュウはなんとも情けない顔をしていた。なにせベランダの手すりとは、直径3cmほどの丸い鉄棒なのだ。気合いで隣に移動したはいいが、どうやら不安になったらしい。

「こっちへおいで、シュウ。」

呼び掛けると素直にUターンしてきた。よろよろとこちらへ辿り着こうとするシュウ。

しかし、そこに大きな障害が横たわっていた。

シュウが隣へ行けないようにしつらえたスノコと観葉植物、それが邪魔でこちらへ戻って来れないのだ。不安定な足場でシュウはよろめく。

「シュウ、シュウ、ほら、おいで。」

猫なで声でよんでやるが、シュウは情けない声で鳴くばかり。

「シュウ。」
「みぃぃぃ。」
よろっ。

「シッシュウッ。」
よろよろっ。

いかん、落ちるっ。


よろめいたシュウの首筋をつかもうと手を伸ばす。

「みゅう」

シュウが足をすべらす。

「シュウーーーっ」

手は空を掴み、シュウは真っ逆さまに下へ落ちていった…







…ここが一階でよかったよ…




2メートル程下の草むらで、シュウは固まっていた。シッポはタワシのようにふくらんでいる。

びっくりしたんだな。

下に降りて抱き上げてもじっとしている。抱っこしているとそのまま眠ってしまった。どーも、かなりショックだったらしい。

だからね、シュウ、お前、びびりんぼなんだから、お母さんの言うことちゃんとお聞きよ。でね、プリン、シュウは今ショックショックなんだから、しっぽでタマとっちゃだめでしょ。

2ヶ月半のプリンは呑気にシュウのしっぽでじゃれ続けている。

そろそろ、2匹とも予防接種に連れていって、首輪に住所、電話番号かいてお外に出してやろうかな。
過保護気味のお母さんだけど、シュウの落下事件で少しは重い腰を上げる気になったのだった。




何度も言うけど、今じゃこれだもんね…