消えていたはずなんだけど、やっぱうぜぇもんはうぜぇ。
初日からオレはすっかり疲れていた。だから精神的に。
なんつーか、このクルクルパーの口はどうにかならんのか。
はたけ上忍におべんちゃら言うかと思ったら今度は自分の任務の自慢話はじめるし、もう、こんなことなら敵さん、とっとと襲ってくれねぇかな。
それに対してはたけ上忍の素晴らしさといったら、移動するときの細やかな目配りといい、あのクルクルパーのあしらいかたといい、超がつく一流の忍びってのは特別なことしなくても実力がにじみ出てくるもんなんだな。オレはうみの先生にこそっと囁いた。
「はたけ上忍って移動の時のポイントの取り方とか周囲に目配りする時とか、小さい事ですけど、オレなんかと全然違いますね。勉強になります。」
そうしたらうみの先生はすっごく嬉しそうな顔で笑った。
「うん、気がついたのか。たいしたもんだ。そういう積み重ねが実戦で生き残る力になる。君はいい忍びになるよ。」
すっかり先生モードで誉められたオレもくすぐったかった。
それにしてもはたけ上忍、オレとかあのアホでうぜぇ特別上忍には優しいのに、なんかうみの中忍には当たりがキツイんだよな。本人は出さないようにしてるのかもしれないけど、言葉にトゲがあるっていうか、表情も固いし。
うみの中忍は相変わらず穏やかなままで気にしてないみたいだけど。オレが気付くくらいだからあのおべんちゃら野郎の特別上忍もそのことに気がついたらしい。
「うみの君、困るなぁ、そんなチロチロ動かれたら気が散ってしょうがないよ。Aランクで不安なのはわかるけど、この僕がいるんだし、もう少し落ち着いてくれないかな。」
ことあるごとに嫌味の連発だ。
「あのねぇ、僕はわざと敵を誘い出そうとして痕跡を残しているんだよ。そんなふうに消されたら僕の苦労が水の泡じゃない。」
っつーか、お前ぇの痕跡はざーとらしすぎんだよ。そこまで露骨だと下忍でも警戒するわっ。
「あぁもう、言いたくないけど、これは実戦なの。教科書どおりにはいかないんだよ。」
そういうお前は基本が出来てねぇだろーがよっ。
なんでこんな奴が特別上忍なんだ。名門の出だからかっ。だからってムカツクー。
一発文句言ってやろうと踏み出したら、うみの先生がすっとオレの肩を押さえた。振り向くと困ったような笑みを浮かべて首を振る。それから宥めるようにぽんぽんと肩を叩いてきた。
うぅ、うみの先生、人間出来過ぎですよ。オレは悔しいっ。
はたけ上忍はなんだか言いたそうな顔でこっちをみていたけど、うみの先生と目があったらふい、と横を向いた。やっぱこっちも変だよなぁ。
なんか変な感じで移動したり野営したりしてたら、ようやく敵さんが襲ってきてくれた。
おせーよ、てめぇらがモタモタしてっから、このクルクルパーの御託を延々聞くハメになったんだろーがっ。
オレは今まで溜まったストレスをぶつける勢いで敵に向かった。術者以外はとっとと排除しとかないと、いざって時が面倒だ。
その時、別な奴が印を結んだ。ヤベェ、あいつ、幻術使いだ。慌てて回避の印を結ぶが、オレは幻術がメッチャ苦手だ。しかもどうやら上忍クラス。おい、特別上忍、今こそお前の出番だろうが…って振り向いたら、白目剥いてぶっ倒れてやがった。
使えね〜〜〜っ。あぁ、でもコイツがダメってことは、すげ〜ヤバい状況じゃね?
もともとコイツが敵の幻術潰してオレとうみの先生が体術とトラップで術者を追いつめる予定だったのに、これじゃオレの方がやられっちまうよ。
ぎゃ〜、木の枝が絡み付いてきやがった。マズイ、解が出来ねぇ。すっかりオレ、幻術世界にはまっちまってる。もうダメだ〜っ。
その時、オレの背中のツボを誰かがついた。フッと幻術世界が消える。おわっ、アブねぇ。目の前に飛んできたクナイを寸ででかわした。
「大丈夫かっ。」
あっ、うみの先生、うみの先生が助けてくれたのか。あっありがとうございますーーーっ。
っつか、この人、無茶苦茶実戦慣れしてねぇ?動き、中忍とは思えないんですけど。
うみの先生は何かわかんない符号の書いてある札を幻術使いに放って印を切った。途端にソイツが動きを止める。
「側面からやれっ。」
うみの先生の声でオレはそいつのアバラをしたたかに蹴り上げた。手応え十分。うみの先生がニッと笑った。
「一撃必殺、さすがだな。」
わ〜、また誉められた。なんかこの人、ナチュラルに教育者だよ〜。すっげやる気出てくる。その時、うみの中忍の横にはたけ上忍が降り立った。
「イルカ先生っ。」
「はいっ。」
一瞬の目配せとともに二人が動く。何?何が起こってるんだ?
うみの先生が水遁を使い、そこにはたけ上忍の手から放たれた青白い光がのる。慌てた術者がなにか印を切り始めた。はたけ上忍の額当てはすでに押し上げられていて、次の瞬間、前方から轟音が響き渡った。眩い光に目をあけていられない。ただ、ヤバそうだってことだけはわかったから、足下で白目剥いてる特別上忍を抱え上げてオレは後方の大枝に非難した。
☆☆☆☆☆
任務は終わった。敵はすべて殲滅、術も無事にコピー出来たそうだ。
戦闘のあった一帯の痕跡を消して、オレ達は小さなせせらぎのほとりで休憩している。埃まみれの手と顔を洗い、携帯食を口に入れる。ようやく目を覚ました特別上忍はなにやらモゴモゴ言い訳を並べていたが、誰も聞いちゃいなかった。
はたけ上忍は川岸の手頃な大きさの岩に腰をかけている。うみの中忍はというと、手際よく火遁でお湯をわかして薬草茶をカップに注いでいた。
オレはさっきの戦闘を思い出す。この二人、息がぴったりだった。わずかな目配せだけであれだけのコンビネーション、仲が悪そうにみえたけれど、本当は違うのだろうか。そういえばあの時、はたけ上忍はうみの先生のことを「イルカ先生」と下の名前で呼んでいた。
「朝野特別上忍、どうぞ。」
うみの先生が薬草茶のコップをクルクル野郎に差し出した。そんな奴、ほっときゃいいのに。
「もう大丈夫ですか?」
なのにうみの先生は体まで気遣ってやってる。
「だっ大丈夫かって、君ねぇっ。」
いきなり特上野郎が声を荒げた。先生もびっくりしているが、オレもびっくりだ。ソイツはわめきだした。
「だいたい、君がちょろちょろペース乱すから、敵の幻術を防げなかったんじゃない。普通だったらあんな程度、瞬殺出来るのに、揃いも揃って僕の邪魔をするから、そこの君、君だってなんのための体術専門なんだね。」
オレぇ?なんでオレ?っつか、なんだよ、逆切れかよ。
「君達がもたつくから僕が一人で敵の幻術を受けるハメに陥ったんだ。こんなことなら一人でやった方がずっと上手くいったよ。」
オイっ、てめぇが使えねぇからこっちはヤバかったんだぞ。だいたい、オレが担いでてめぇを助けてやったんだろうが。
「これは上に報告させてもらうからね。特にうみの君、君はまったく迷惑だよ。皆の足を引っ張るのもたいがいにしてくれたまえ。」
やろうっ、言わせておけば言いたい放題。もう勘弁ならねぇ。上官だろうが何だろうがコイツ、一発イレてやる。
オレが立ち上がるとソイツはびくっと体を強ばらせた。そうかもな。オレは中忍だが体は二周りほどデカイし、体術だったらこんなヘナチョコ野郎に負けやしねぇ。一歩踏み出したオレの前に、だけどうみの先生がスッとたった。
「いいから。」
小さく一言いってオレの肩に手を置く。
「己を押さえるのも勉強だ。何事もぶつけどころってのがある。それを見極める目を持つんだ。」
そっと耳元に囁かれた。オレはハッとする。そうだ、オレは忍びなんだ。闇雲に感情をぶつけても敵にやられるだけだ。
うみの先生からお茶のカップを受け取ってオレは腰を下ろした。特上野郎はあからさまにホッとした顔をする。ふん、底の浅い奴、うみの先生とは段違いだ。
そのうみの先生は黙ってカップを特上野郎の側に置くと、一礼して今度ははたけ上忍のところへカップを持っていった。
あれ、普通、隊長のはたけ上忍が最優先なんじゃねーの?
はたけ上忍はうみの先生が側にきてもそっぽ向いている。そう、そっぽ向いてるんだ、あの写輪眼のカカシが。
「カカシさん。」
うみの先生がはたけ上忍に呼びかけた。え?カカシさん?
「はい、薬草茶です。お疲れになったでしょう?」
「……あのくらいで疲れたりしません。」
ぷい。
そう音がする勢いではたけ上忍がそっぽ向いた。
「それは知ってますけどね。はたけ上忍。」
「あーっ、またそんな言い方するっ。」
今度はぐりん、と首を回してはたけ上忍が噛み付いた。
「なにその他人行儀な呼び方、まーだケンカのこと、根に持ってんだ。でもオレは謝りませんからね。悪いのはイルカ先生じゃない。」
「オッオレのどこが。」
はたけ上忍の勢いに押されて一瞬のけぞったうみの先生が今度は噛み付いた。
「根に持ってんのはアンタの方だろ?オレは歩み寄ったじゃねーか。」
「どーこが。だいたい、朝オレを置いて一人で集合場所に行く?行かないよねフツーさ。一緒の任務なのになんで一緒に出ないのよ。気がついたらもういないんだもん。戸締まり、全部オレがやったんだからね。」
「戸締まりくらいやれよ。茶碗はオレが全部洗っただろ?なんだよ、巻物はオレが持つって打ち合わせてたくせ、難癖つけやがって。体術苦手でわぁるかったなぁ。上忍基準でモノ言うなよ。オレは普通の中忍レベルだ。」
「うわ〜、セコっ、あんな言葉尻とらえてセコいったら。はじめにケンカ売ってきたの、アンタじゃない。なーにが『私です、はたけ上忍』よ。ざーとらしいったら。」
「任務なんだから公私の区別つけただけじゃねーか。それのどこが悪い、アンタ、上官だろーがよ。」
「そーですよ、上官でーすよ。その上官に文句つけていいんですかねーっ。」
「なんだと、コノヤローっ。」
戸締まり?茶碗?さっぱりわけがわからない。だけど子供みたいな喧嘩がはじまったのは事実で、オレは慌ててとめに入る。なんだかわからないけど、止めた方が絶対いい。
「あっあの、はたけ上忍もうみの先生も落ち着いてください。何がどうなさったんです。」
第三者が割って入って流石に二人とも少し頭が冷えたのだろう。オレの方に向き直った。
「ちょっと、聞いてくれる?この人、ひどいんだぁよ。」
「聞かなくていいぞ、この我が儘大王の言う事聞いてたらキリがねぇ。」
訂正。全然頭、冷えてない。面食らうオレの腕をはたけ上忍がガッと掴んだ。
「あのさぁ、君、モン・サン・木の葉のバレンタイン限定チョコトリュフって知ってる?知ってるよね、有名だから。」
「はっはぁ…」
何の話だ。
「この人さぁ、紅とかアンコに頼まれてそれ、並んで買いにいったわけよ。ほら、紅はアスマに、アンコはイビキにあげるじゃない。」
そっそうなんだ、知らなかった。っつーか、いきなり里の実力者達の日常を当然みたいにふられてもわからないんですけど。
「休みなのに朝早くから出かけるな〜って思ってたら、チョコの行列に並んでたわけなのね。あれが売り出されるのは一日だけだし、激レアだからお一人様三個までですごい競争じゃない。」
そうなんですか?オッオレはそんな高級なもの、貰った事も買ったこともないからわかりません。っていうか、だいたいチョコ、買わねぇし…
「で、目出たくその激レアチョコトリュフ、ゲットしてきたのよ。なのに、なのに…」
ふるふるとはたけ上忍の手が震えている。
「この人、オレの分、買って来なかったんだよーーーっ。」
はい?
「紅とアンコの分、二つで後もう一つ買う権利あるじゃない。なのにオレには買って来ないって、赤の他人のためにチョコかってやって、大事な恋人にあげるチョコ買わないってどういう了見なのよーっ。」
はいいいっ?
恋人って言った?うみの先生の恋人?そのうみの先生は顔を真っ赤にしている。
「だってアンタ、普段チョコとか食わねぇじゃねーかっ。甘いもの嫌いだって、オレがケーキとか買ってきても嫌そうな顔してさ。」
「バレンタインは特別でしょっ。オレだってアンタに毎年あげてるじゃない。」
「オレチョコ好きだもん。」
「なーにを開き直って、このクソ中忍っ。」
「うるせぇ、バカカシッ。」
ふぎぎぎぎ、と額付き合わせて二人、睨み合っている。っつーかコレ、犬も食わないなんとかって奴だよな。
にしても、うわ〜、なんつーか、そーだったんだ〜。全てに納得がいった。あのトゲトゲしてた空気は、単に痴話喧嘩が続いていただけの話で、いざって時に息がピタリとあってたのは、恋人だったからなんだ。
喧嘩はまだ続いている。だけど、なんだかいい感じだよ、うみの先生もはたけ上忍も。
ほっこりした気分でふと気付くと、金髪くるくる野郎があんぐりと口を開けて二人を見ていた。そりゃそーだろ−。はたけ上忍にうみの先生が嫌われているって思い込んで、嫌味言いまくってたんだもんな。オレは呆然としている特上野郎の側に立って言ってやった。
「謝んなくていいんスかぁ?随分色々うみの先生に言ってましたけど、ヤバくないですか?あの人、はたけ上忍の…次期火影様の想い人ですよ。」
ザーッとクルクル野郎の血の気が引く音がした。ついでにオレはアカデミー教師ってのがどんな立場なのか教えてやった。だってマジでコイツ、知らねぇみたいだったもんな。
「はたけ上忍の恋人でなくても、アカデミー教師、怒らせない方がオレはいいと思いますけど。だってあの人達、受付も兼務する里の中枢じゃないですか。オレなら怖くて手ぇ出せないっすねぇ。」
これはホントだ。前線任務につけばつくほど、補給線を握る彼らの手腕がオレらの生死の鍵だと痛感する。どんなに強い忍びでも、前線で切り離されたら死ぬしかない。
たぶん、この名門出の特別上忍は本当に過酷な前線にでたことがないのだ。
真っ青になったくるくる野郎は大慌てで立ち上がった。まだ痴話喧嘩中のうみの先生のところへ飛んでいく。あ〜あ、つくづく機を見る目がねぇ奴だなぁ。
案の定、唐突におべんちゃらを言い始めた特上野郎をうみの先生は一喝した。
「うるせぇっ、こちとら取り込んでんだよっ。アンタがオレのこと、嫌いだっつーのはじゅーぶんわかったから、オレに話しかけてくんなっ。」
ほ〜らね、痴話喧嘩の最中に話しかけるからだよ、ぶぁ〜か。普段の先生だったらきっと許してくれたんだろうけど、ね。しかも喧嘩の矛先がかわってしまった。はたけ上忍が特上野郎をじろりと睨む。
「あぁ、アンタ、なんだか知らないけど、オレのイルカを随分侮ってくれたじゃないの。」
冷え冷えとした声音だ。
「こう言っちゃなんだけどねぇ、オレの大事な人は強いよ?オレだけでなく、ガイとかアスマとかも稽古つけてくれるからね、この人が中忍でいるのは教師続けたいだけだからなんだぁよ。ま、任務に私情はさんだらこの人に怒られるからやらないけど、事実はきちんと報告書に書かせてもらうから、そのつもりでね。」
特上野郎は卒倒せんばかりに青ざめている。自業自得だ、ざまーみろ。
「カカシさん、あんまり怖がらせたらダメですよ。」
「だって、ホントむかついたんだもん。」
「いいんですよ。こんなのほっときましょう。それより、早く帰還したいです。」
「ん、二人揃って休みもらえるね。」
うってかわって今度はラブラブモードに突入だ。そっか、だから犬も食わないって言うんだ。勉強になるなぁ。痴話喧嘩も丸くおさまり、一休みしたオレ達は一路、里を目指した。
☆☆☆☆☆
しばらくしてから、オレはアカデミーの恩師、イワノリ先生を尋ねた。先生は相変わらず厳つくて、でもオレが会いに行くとすごく喜んでくれた。うみの先生からも話を聞いていたらしい。今回の任務をこなしたこともすごく誉めてくれた。
「でも先生、びっくりしました。うみの先生ってはたけ上忍の恋人だったんですね。」
「あ〜、この辺りじゃバカップルで有名なんだが、そうだよなぁ、普通は知らないよなぁ。」
イワノリ先生はがはは、と笑った。
「もうすぐはたけ上忍がうみのを迎えにくる頃じゃないかな。」
「え、迎え、ですか?」
「そりゃお前、だからバカップルなんだろうが。」
うわ〜、想像以上に熱愛カップルだったんだ。感心しているところに、はたけ上忍がひょこり、と顔を出した。わ〜、ホントに迎えにくるんだー。
「お疲れさまです〜。あれ、イルカ先生は?」
「うみのならまだ調理室にいますよ。なんでも、はたけ上忍のためにバレンタインケーキ作っているそうで。」
イワノリ先生がそう言うと、はたけ上忍は照れくさそうに頭をかいた。
「まいったな。ホントに作ってくれてるんだ。」
それからオレに気付いてにこ、と笑って下さる。
「あれ、久しぶりだね。恩師に報告?」
「はい、その節はお世話になりました。」
立ち上がって頭をさげると、はたけ上忍はにこにこした。
「ん、またよろしく頼むね。」
それから、調理室のぞいてみようかなぁ、と呟きながらそわそわした足取りで出て行った。バレンタインチョコの喧嘩は、うみの先生の手作りチョコケーキってとこに落ち着いたのか。
「いいなぁ、オレも恋人、欲しいなぁ。」
思わず声に出したら、イワノリ先生に爆笑された。ちぇ、先生はお子さんまでいる身で幸せだから笑うんですよ。
とにかく、この間の任務は、色んな意味で勉強になった貴重な体験だった。
そういや、あの任務以来、金髪クルクルパーの姿を見かけない。聞けばアイツ、使えねぇ特上って有名だったらしくて、前回組んだメンバーが重傷だったことで里が調査にのりだしていたんだそうだ。
まぁ、アイツがどうなろうと関係ないか。これからも精進しろよ、って恩師の激励受けて、オレはまた任務に出るため、受付棟に足を向けた。
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