レオリオはソファに座って医学書をめくっていた。来週から大学のテストがある。せっかく帰ってきている恋人とイチャラブするためにも、空き時間を有効に使って勉強しておきたい。その愛しい恋人は、今朝見損ねたというアニメの再放送の時間だといって、居間のテレビの前に陣取っていた。お目当てのアニメの時間は三十分。

 その間、集中だな。

レオリオは本に没頭した。アニメの音や音楽が隣の居間からしていたが、耳には入っていなかった。

「レオリオ。」

ぽん、と肩を叩かれ、レオリオはハッと気づいた。クラピカがにこにこ笑ってお茶をソファテーブルに置く。

「お、サンキュ。」

アニメ、終わったのか?と言いながらレオリオは医学書を閉じた。ティーカップを手に取って、ふと、視線を感じる。顔を上げると、クラピカがじっとレオリオを見つめていた。どきん、と心臓が跳ねる。

「なっなんだよ。」

熱っぽい視線に、レオリオはどきまぎする。

「お前のことを…」
「…え?」

レオリオの目をひたと見つめ、クラピカがはっきりとした口調で言った。

「信じている…」
「クラピ…」
「この命の尽きるまで…」

驚きと感動でレオリオは言葉が出なかった。

命の尽きるまで…

なんという、熱列な愛の言葉だろうか。今、クラピカは、命をかけて愛していると言ってくれたのだ。死ぬまでレオリオ一人だと。胸が熱くなった。照れ屋で、日頃あまり言葉をくれない恋人からの、真摯な告白。嬉しい。どうしようもないくらい喜びで一杯だ。

「クラピカ…」

感極まって涙が滲みそうになるのをレオリオはぐっと堪え微笑んだ。

「クラピカ…おれも、おれ…も…」

愛しいクラピカ、おれからも愛の言葉を。

「おれだってお前を…」



「と、アルフレドが言ったのだよ〜〜〜っ。」
ほう〜っ、とクラピカは胸の前に手を組み合わせ、うっとりと天を仰いだ。




「…は?」


「もちろん、ロミオに対して言っているのだがな、熱烈な愛の告白に聞こえないか?私は感動したぞ。」

あるふれど?ろみお?

クラピカの口から出てくる単語についていけず、レオリオは白く固まっている。

「命尽きるまで、って、まるで恋人にむかって言うせりふではないか。やはり、無意識にアルフレドはロミオを愛していると確信したぞ。レオリオ、お前はどう思う?」

どう思うって、どう思うって、もしかしてさっきの言葉はアニメのセリフかっ?

「ロミオもロミオだ。女の子から銀の十字架のお守りを貰うのだがな、そして結局、そのお守りに助けられるのだが、ロミオが戦っているのはアルフレドのためなのだよ。ロミオの心の中にはアルフレドを狼団から取り戻すことしかないからな、まったく、そのアンジェレッタも報われないなぁ、あっはっは。」

あっはっはって…あっはっはって…

「なんだ、泣いているのかレオリオ、話を聞いただけで泣くなど、お前も感激屋だな。」

日、出づる処の国の作ったアニメなんか、大の大の大嫌いだっ。
滂沱と涙を流しながら、レオリオは復讐を、直接誰に復讐すればいいのか今ひとつわからないが、とりあえず復讐しようと固く固く誓っていた。


☆☆☆☆☆☆☆

(いくら熱い友情物語だからって、あのセリフはど〜よ、え、名作劇場。十五才の少年に道誤らせてどうする。だんだん脚本と演出が過激になってきているような気がしてるのはオレだけ?)