それいけ、バカップル 1



「レオリオ、レオリオッ」

ああ、愛しい人がおれを呼んでいる。今、おれのもとにクラピカが帰ってきている。しばらくぶりの甘い時間、恋人とかわす砂糖菓子のような会話…

「レオリオ、ミニラなんだがなっ。」

おれをとろかす恋人の声。

「ミニラがなんと鳴くか、お前、知っているか?」
「……………ミニラ?」
「そうだ。ミニラといえばゴジラの息子に決まっているだろう。」

興奮しているのか、クラピカが頬をわずかに紅潮させている。

「レオリオ、ミニラはな、敵に襲われた時、『恐い恐い』と鳴くのだぞ。」

いや…鳴くのだぞ、といわれても…

クラピカはにこにこ笑って話し続ける。

「すると、父親であるゴジラが助けに現れるわけだ。」

ああ、クラピカを映画に誘った己自身が呪わしい。何でもよかったのだ、映画など。恋人と雰囲気を盛り上げるためのただのアイテムで、たまたまそこでやっていたのが「ゴジラvsメカゴジラ」というだけだった筈なのに…

クラピカがゴジラにはまってしまった。娯楽に疎いクルタ族には、特撮映画は刺激が強すぎたのか。それ以来、ゴジラものをビデオで見ては、明けても暮れてもその話ばかりだ。

くそっ、ゴジラめ、おれ達の甘い語らいを返しやがれっ。

おれは盛大にため息をついたが、クラピカは気付かない。

まあ、当然か、こいつは妙に抜けてて鈍いから。そこが可愛いといやぁそうなんだが…

「バショウに…」
「……はい?」
「また、バショウに連絡してゴジラの情報を集めなければな。」


なにーーーっ、今、何と言った、あのもみあげ男と連絡だとぉっ。


クラピカは無邪気に笑う。

「ああ、彼もゴジラファンらしくて、最近よくメールでゴジラの話を…」
「クラピカーーーーッ」

目を丸くするクラピカの肩をおれはきつく掴んだ。

「おれもゴジラ大好き。ミニラな、恐いって鳴くのか、そーかっ、クラピカ、そりゃあすごいなっ。」

ゴジラの話ならおれが聞く。だからあのもみあげにメールなんかするなーっ、

気がつくとおれはそう叫んでいた。クラピカはしばらくぽかんとしていたが、顔を伏せてくすっと笑った。もしかして、はめられたか?でもまあ、いいか。ゴジラの話をする恋人の声はやはり甘くて、とろけるような時間が流れる。
ミニラが襲われると恐い恐いと鳴く、ね。まったく、ハンゾーといいバショウといい、あの国の奴らはよくわからんが、今はクラピカがおれの腕の中にいることで良しとしよう。

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日記コーナーから移動させたSS、第一弾。いや、すいませんね、特撮ファンなもんで。ついクラピカに特撮ファンやらせちゃってます。これからも趣味を反映したレオクラになっちゃいますが、ま、御愛嬌ってことで。日記SSだから日常生活も反映してたりなんかして、あはは〜(ごまかし笑い)不定期に増えていきますです、はい。