そこは何の変哲もない公園だった。しかし、その一角にある茂みに近付く青学の生徒はいない。
皆、恐怖をこめてそこを呼ぶ。「眼差しの茂み」と…
「ねぇ、桃先輩、あれ、部長と不二先輩じゃないっすか。」
「ああ〜 、ホントだ…って、なぁ、越前、ハラへってないか。」
「そうっすね、オレ、ハンバーガー食いたい気分。」
「丁度心優しい先輩方を見かけたことだし。」
「桃先輩、急がなきゃ、あの二人、どっか行っちゃいますって。」
「追え、越前っ。」
「先輩っ、あの公園の裏にまわったっ。」
「見失うなっ。」
「ぶわっ。」
「バカ、突然止まる奴が…」
「……………」
「……………」
「い…いこうか、越前…」
「げっ、こっち見た。」
「見たな。(じろっ)」
「見たね?(くすっ)」
「わあああああああ〜〜〜っ。」
その茂みに近付いてはいけない。その眼差しを受けたものはこの世のものとも思えぬ恐怖を体験するのだ。
あなたが無事に人生を送りたいならば、眼差しを受けてはいけない…
「こらぁっ、越前、桃城、お前達かっ、くだらん話をばらまいているのは。」
「わーーっ、逃げろーッ。」
「グランド百周してこいっ。」
「くすっ、桃、越前、まだまだだよ。」