「受身尊敬自発可能 れーれーるーるるるれれよ」
「受付交替だぞー。お、イルカ、相変わらず古典か?苦労してんな」
「られられらるらるるらるれられよ 未然形接続」
「おいイルカ、大丈夫か?」
「あー、とりあえず大丈夫だと思うぞ。明日やる助動詞、一応覚えたみたいだから。ほい、引継書」
「おっおぉ、サンキュ。でもさ、イルカ、最近ずっとこの調子じゃん」
「うーん、実はアカデミーの古典授業、イルカが全部やることになってさ」
「え、それ酷くね?ヒラマサ、トリモチ、お前らもアカデミー教師だろ。助けてやんねぇの?」
「オレは物理担当。オレだって追い詰められてるんだ」
「オレは数VCで追い詰められてる」
「だから問題集、広げてんのか…」
「「ちなみに主任と教頭とくノ一先生達は逃げてる」」
「うわ〜、またなんでそんなことに」
「三代目の座学重視ブーム。都の学校視察から帰ってきたらこうなった」
「なんとかしてくれ、三代目のマイブーム」
「とばっちりきてんなぁ、アカデミー」
「まさにっ」
「わぁ、びっくりした」
「なんだよイルカ」
「三代目、ことにかたくななる人ぞ、「勉学の基礎を固むるは人の基礎を固むるなり、よくよく勉るべし」などは言ふめる」
「イルカ、何言ってっか、さっぱりわかんない」
「眉間、シワ寄ってっけど」
「目、イッテっけど」
「はっ、すっすまん、今、オレどこか行ってた」
「うんうん、わかるよイルカ」
「追い詰められてんなイルカ」
「オレ達もたまに数式が空中浮遊するもんな」
「おい、大丈夫なのか?お前らさ」
「オレは大丈夫。力の計算はテラフォーマーズミッシェルさんのおぱーいの重さ計算してるって自己暗示かけてるから」
「オレだって大丈夫。イケナイ家庭教師、数VCだから」
「オレだってオレだって、カカシさんエキスたっぷりの足つぼローラーすりすりしてっから」
「「「イルカ、お前が一番ヤバい」」」
「おぱーい計算してるヒラマサのがヤバいだろっ。あ、でもな、オレ思ったんだよ」
「なんだイルカ」
「どうしたイルカ」
「言ってみろイルカ」
「うん、お前らさ、覚えてるか?こないだのカカシさんのハイソでハイレベルな掛詞ギャグ」
「…あぁ、あれな」
「あんな凄いギャグ、いくら勉強したってオレには無理だ」
「まぁ…上忍ギャグだし」
「本性だし…」
「でだな、あれほどハイソなギャグセンスの持ち主にアピールするには全く違う切り口で攻めなきゃだめだって悟った」
「あ〜、ようわからんが」
「イルカが言うならそうなんだろ」
「ようわからんがな」
「そこでだっ」
「うわっ、びっくりした」
「机叩くなよ」
「声デカいって」
「古典にどっぷり浸かる生活に嫌気がさしたオレとしては」
「あらら〜」
「言っちゃったよ」
「三代目の勅命に文句つけたよ」
「古典ジョークの対極ともいえる、アメリカンジョークで攻める」
「「「……はい?」」」
「聞いてくれ、オレのアメリカンジョーク」
「あっあめりかんじょーく?」
「っつかイルカ、なんでカウンターの前に立つ?」
「ほら、向こうの人達、こっち見てんぞ?」
「いいから聞け、そしてオレのセンスがカカシさんに通用するか見てくれ」
「「「おっおう」」」
「ちゃらちゃんちゃんちんつれちゃんちゃん」
「なんで口三味線」
「アメリカンじゃないのか」
「しっ、始めるみたいだぞ」
『ヘイ、キャサリン、今日のアポーパイの出来はどうだい?』
『ハイ、マイコー、ごめんなさい。リンゴを入れ忘れちゃったのよ』
『おいおい、キャサリン、それじゃあアポーパイじゃなくてただのパイだよ、はっはっは』
『オゥッ、マイコー、オゥマイガッ』
「「「……………」」」
「おい、イルカ、こっち見てんぞ」
「目ぇキラキラしてる」
「やべぇ、期待してんぞアレ」
「肩竦めたっ、両肘あげて肩すくめた」
「アメリカンなポーズとった」
「なんか言えよ」
「お前言え」
「あっはっはっは、あ〜ごめん、我慢出来なくて」
「「「はたけ上忍っ」」」
「丁度受付入ったら先生のアメリカンジョーク、聞こえちゃって、ははは、あ〜おかしい」
「はたけ上忍、アメリカンジョークっつったぞ」
「アメリカンジョークに聞こえたのか、アレ」
「マジで受けてんぞ、アレ」
「イルカ先生、いつも古典の勉強してるから冗談なんか言わないって思ってたけど、面白い方だったんですねぇ」
「あ、はたけ上忍、イルカの肩叩いた」
「イルカ、パニクってる」
「あ、また叩いた」
「イルカ茹だったぞ」
「先生、もうあがり?だったらこれから飲みにいきません?」
「「「えっ」」」
「子供達のことも話したいし、先生とは気が合いそう」
「「「おぉ、イルカ、ヘッドバンキング」」」
「ねぇ、この人、もう連れて行っていい?」
「どーぞどーぞ、はたけ上忍、イルカはもうあがりです」
「ちょっとお待ちくださいね、はたけ上忍。イルカの荷物、すぐまとめますから」
「イルカ、このまま行け、引き継ぎはもういいから行け」
「「「バカ、泣くな。これからだろうが」」」
「じゃ、行きましょ、イルカ先生」
「よかったなぁイルカ。一緒に飲みに行けて」
「アレをアメリカンジョークって認識した段階で気ぃ合うよな」
「っつかさ、なんではたけ上忍に彼女出来ないのか、わかった気がする…」
「オレも」
「うん、オレも」
イルカてんて、一歩前進?
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