オフ本鬼神ー試し読み  
 




「くわっかしすぁーーんっ。」

どろん、と瞬身で駆けつけた大門の前では、さっきの中忍が言った通り、カカシは三代目とアスマに何か話をしていた。イルカは青くなる。たった今受付所で聞いたカカシの活躍譚、それが話のとおりなわけがない。そして、事実の裏にある真実は絶対封印すべき話に決まっている。

「カカシさんっ。」
「あ、イルカせんせ。」

カカシがにこ、と目を細めた。

「ただいま戻りました。」
「はっはい、おかえりなさいっ…じゃなくてっ。」

三代目達の目の前だがかまっている余裕はない。イルカはガシリとカカシの手を両手で握った。

「カカシさんっ、報告以外の任務の話はっ…」
「ふふ、わかってまーすよ。」

カカシは口布ごしにちゅ、と口づけてきた。そして耳元でそっと囁く。
「オレの話は全部イルカ先生のものだから心配しないで。」

その言葉にホッとイルカは体の力を抜いた。とりあえず今回も封印出来そうだ。
物静かだとばかり思っていたこの男、実はただの人見知りで、気を許した相手には結構ペラペラ気軽にしゃべる。それがわかってからというもの、イルカは気が気ではなかった。いつどこで真実が漏れるともかぎらない。はぁ、とイルカは息をついた。

「心配しますよ、いつだってあなたのことは。」

まごうことなき本音だ。

「大丈夫、オレはそうそうやられたりしません。でも嬉しいな、そうやっていつも気にかけてもらえるなんて。」

それがどう受け取られるかは別として。

「おいおい、イルカ、お熱いのも結構だが、オレ達がいるのを忘れちゃいねぇか。」

ホント、どう受け取られるかは人それぞれで。

「イルカよ、ナマ小百合チャンの話じゃ、少しくらい教えてもらってもよかろうが。」

勘違いされたとわかってもそれをただすわけにはいかなくて。

「……由水小百合の話だけならいいですよ。」

こう答える以外、イルカに何が出来ようか。アスマがやれやれと言った顔で苦笑いした。

「ったく、お前ぇはほんとカカシに夢中だなぁ。」

違う、断じて違う。

「イルカ先生が、じゃなくてオレ達、互いに夢中なの。」


あぁぁぁー。


むぎゅ、と抱きしめられイルカはただ笑うしかない。

「イルカ先生、これから受付所?なら一緒に行きましょ。オレ、イルカ先生には一杯話したいことあるんですよ。」
「……はい。」

見上げる空は雲一つな い秋晴れで、鮮やかな青がじんわりと目にしみた。。




 
  書き終わった〜、冬の新刊、「鬼神」のちょい見せです。今からちょっと手直ししたりして、でも冬、出せる。不運な中忍、じたばたしています。Mい様のドリーム、形にしてみましたvいつもありがとうございます〜。この木の葉の里は木の葉崩しもないし三代目もアスマ兄も健在です。なんかもう、カカシショックがなくてもほとんど『貴腐人の会」発足してるようなもんですな…