酔っ払いと唇完結編




目覚めたのは夕暮れ時だった。

二日酔いの気分の悪さはいくらかましになっている。
レオリオいうところの、「お前のための特製ジュース」と少々のパンで昼食をとった あと、クラピカはシャワーをあびて再びベッドへもぐりこんだ。そして、そのまま夕 方まで眠り込んでしまったのだ。


ずいぶん眠ってしまったな


横になったままクラピカはふと、窓辺に目をやった。そ して、レオリオがいるのに気がついた。 レオリオはスーツの上着を脱いだ格好で椅子にまたがり、その背に両腕と顎をのせて 外を眺めている。夕日が横顔を照らしていた。

クラピカは我知らず見愡れた。いつもの軽さが消え、ひきしまった顔だちに深い静け さと落ち着きがただよう。
ふいにレオリオが振り向いた。クラピカと目があい、優し く微笑む。

「起きていたのか。気分はどうだ。」
「ああ、だいぶいい。すまなかった。世話をかけたな。」

思わずどぎまぎしたクラピカは、悟られぬように目をそらし、慌てて起き上がると身 繕いをした。レオリオは静かに微笑んでいる。

「何を・・見ていたのだ?」

じっと見つめられて困惑したクラピカはベッドから降り、問いかけた。

「・・いや、何も。ただ、陽が沈む。」

レオリオは再び窓の外へ目をやった。クラピカも窓の側によると外を眺める。

「そうだな、もう、日暮れだ。」

太陽が最後の光を投げかけ、あたりは朱に染まっていた。

「お前こそ、さっき何を見ていたんだ。」
「え、わ・・私は・・・」

思いがけない問いにクラピカは慌てた。しかし、すぐに観念して正直に答える。

「真面目な顔をしていると、案外とお前はハンサムだ、そう思っていた。」
「ばか、おれはいつだって真面目ないい男だ。」

レオリオは照れくさそうに笑い、横を向く。クラピカは、そんなレオリオの顔を好き だと思った。

「おれはお前のことを考えていた。」

ぽつりとレオリオがつぶやく。

「夕日を眺めながらか?」
「ああ。」
「お前がそんなにロマンチストだとは・・・」

軽く受け流そうとしたクラピカは、急に手を取られ、言葉を飲み込んだ。

「気を悪くしないでくれ。クラピカ。ただ、夕暮れの赤はお前の緋の目に似ている。
そう思った。」

レオリオはいつになく真面目な顔でひた、と見つめる。
クラピカは心臓がはねるのを自覚した。

「わ・・私のイメージは黄昏れか。落ちぶれていくようだな。」

なんとか軽口をたたくが、声がかすれる。
レオリオはクラピカの手を握ったまま、椅子に座りなおした。
正面に向き直られ、クラピカは思わず俯いた。残照がクラピカを赤く染める。

「きれいだ・・」
「そんなセリフは女に言え。手を・・・」

離してくれ、と、最後まで言えなかった。レオリオが手のひらに唇を押しあてたのだ 。クラピカははっと息を飲む。唇を離し、レオリオは囁くように言った。
「夕暮れの赤はせつないな。見ていると、泣きたくなってくる。何か、昔忘れちまっ た大切なものが、そうだな、ガキの頃の優しい記憶とか・・・」

レオリオは目を閉じ、口の端に微笑をはいた。

「・・・ひょいと目にはいった一輪の花の思い出とかな、頬をなでる風の感触だの、 そういった奴が胸に蘇ってくる、そんな甘くてせつない気分だ。そしたら、お前の顔 が頭に浮かんだ。・・・」

レオリオの両手がクラピカの手を包む。そのまま静かに言葉を紡いだ。

「深く澄み切った碧が鮮やかな緋色に変わっていく、この空もお前の瞳も。空眺めな がら、おれはお前の瞳を重ねていた。」

ゆっくりと顔をあげ、レオリオはクラピカを見つめた。クラピカも黙って見つめ返す。 二人はじっと見つめあった。レオリオの背後には夕焼けがひろがっている。

「・・・気障だな・・・」

クラピカはわずかに目を伏せた。

「・・・気障か?」

陽はすでに落ち、世界は柔らかな光に包まれている。レオリオは再びクラピカの手に 口付けた。

「愛している。おれはこんな月並みなことしか言えねぇ。どうしたら、おれの想いが お前に届く? 言葉にすると、何もかも薄っぺらになっちまう。」

手のひらに、細い指に、熱情をこめて口付けながら、辛そうな顔をする。

「愛している・・・・」

レオリオの声が震えた。クラピカはせつなさで胸がつまった。レオリオの頭に片手をまわし、胸に抱きよせる。

「レオリオ・・」

名を呼び、髪に顔をうずめた。

「私のレオリオ・・・」

レオリオが頭を預けてくる。夕風にコロンが香る。クラピカはレオリオの香りに包ま れ、目を閉じた。


クラピカのなかに暖かいものが流れ込んでくる。
レオリオの優しさに満たされていく。


だから私はお前に惹かれたのだ、


クラピカは改めて自分の気持ちをかみしめた。


はじめは軽薄な奴だと思った。男のくせに香水などつけて、嫌味な奴だと軽蔑した。 しかし、レオリオの素の顔を知るにつれ、クラピカは認識を改めた。

芯の強い男なのだ。だからこそ、他人の痛みを包み込む優しさが生まれる。レオリオ のそんなところに好意を抱いた。そして、それが恋心に変わるのにさして時間はかか らなかった。

人を想う喜びをレオリオを愛して始めて知った。同時に、一人胸を焦がす苦しさを、 せつなさを味わった。クラピカははじめからあきらめていたのだ。この恋が成就する はずがない、友人以上の関係はありえない、だが、レオリオの優しさに触れる度に胸 が疼いた。あまりにつらくて、自分は恋情などに浮かれていられる身ではないのだと 、復讐のみを考えようとした。 無理矢理気持ちを押し殺した。


せつなくて、体中が痛かった。


だから、レオリオから愛を告げられた時には歓喜に震えた。はじめて唇をあわせたと きの喜びを今でもはっきり思い出すことができる。

レオリオはクラピカにとって奇跡だった。クラピカのなかから、クラピカ自身も知ら ない様々なものを引き出してくる。

目の前で愛しい男がじっと自分を見つめ、微笑んでいる。自分だけにむけられた優し い笑み。

この優しさがなかったならば、自分の人生はどれほど殺伐としたものになっていただ ろう。こんなにも自分はレオリオを必要としている。言葉にだして想いを伝えていな いのは自分の方だ。だが、口をついてでたのは、まったく違った言葉だった。


「私が罪にまみれても・・・か・・」


クラピカは、一瞬はっとして、それから自分の言葉を恥じるように俯いた。レオリオ はクラピカの顔をあげさせる。

「お前はこれからも修羅の道を行く。そんなことはわかっているさ。」

レオリオの声は穏やかだった。

「血にまみれるか?汚濁のなかをはいずるか?ああ、必要ならお前はそうするだろうな。情けねぇのはおれさ。お前が苦しむのをどうしてやることもできねぇ。だから・ ・・」

言葉をきると、クラピカの髪をなでた。

「だから、せめて側にいさせてくれ。」

クラピカの唇が震えた。だが、言葉にはならない。

「どうしてお前は・・・」
一筋涙が流れる。レオリオはそっと指で拭い、 涙のあとに口付けた。 クラピカはレ オリオの手に頬をあずける。

「私は・・・どうやったらお前に伝えられるのか・・・私は・・・」

レオリオが真摯な眼差しで見つめてくる。

「言葉でなくてもいい。お前の想いを感じたい。」

それから、低く静かに言った。

「服を・・・ぬいでくれ・・・」



__________



日暮れどきの優しい風が窓からはいってきて、さらさらとクラピカの髪を乱した。し なやかな動きで窓辺の椅子にかけているレオリオの前に立つ。 白い裸身が淡い光の 中に浮かんだ。

レオリオは手をのばしてクラピカを引き寄せると、首から肩、胸へと触れていく。そ して、しばし、陶然とした。きめ細かい肌の感触とひきしまった肉体の躍動感をレオ リオは愛した。

クラピカはわずかに笑みを投げかけると、レオリオの眼鏡をとり、床に落とした。そ れからネクタイに手をかけ、首元をゆるめながら上からキスをする。

はじめは軽く、しだいにからみつくようなキスをする。

レオリオは膝にクラピカを載せた。背中を両の手で愛撫しながら唇を首筋にはわせる 。クスクスと声をたて、クラピカはくすぐったそうに身をよじった。

「ん?」

顎の下にキスしながらレオリオが問う。クラピカは耳たぶを軽く噛んで囁いた。

「ひげが痛いぞ。」
「お前は全然ないな。」
「クルタの男は毛深くないのだ、昔から。」
「おれはお前がひげもじゃでもかまわねぇぜ。」
「私が嫌だ。」

笑いながら再び唇を重ねた。クラピカの手がワイシャツをたくしあげ、中へ滑り込ん でいく。
二人は夢中でお互いの肌をまさぐりながらキスを続けた。歯がぶつかり、かつりとなる。
舌を吸いあいとろけていく。

レオリオが強く舌を差し入れてきた。口の奥をふさがれてぐうっとクラピカが小さく 呻く。それでも唇を離そうとはしない。レオリオの舌に自分の舌をからませ更に強く 吸い付く。

クラピカは我慢できぬというふうに自身をレオリオにすりつけた。 腰をはっていたレオリオの手が前にまわって上下にクラピカの欲望を扱きはじめる。 はっと息をついてのけぞった白い首筋に貪りつきながらレオリオは囁きかけた。

「キスだけでいきそうか。」
「・・・あ・・あっ・・」

扱かれる度に体がびくり、びくりとはねて、クラピカは声をあげた。小刻みに震える 胸をレオリオは舌で愛撫する。

「・・っ・・お前だけ・・・ずるい・・ぞ・・」

クラピカは レオリオの頭を激しくかき抱き、荒く息をついて切れ切れの言葉を紡ぐ と、 片手でベルトをはずし、前をあけた。 レオリオのものが勢いよく跳ね出す。クラピカはくくっと笑うと、少し体を離してレ オリオを見つめた。

笑みをふくんだ瞳が緋色に輝く。そのまま体をずらすと、クラピカは床に膝をつき、 椅子にかけたままのレオリオの股間に顔をうめた。
じらすように先端に口付け、舌でくすぐる。それから、愛おしむように口に含んだ。 レオリオが大きく息を吐き、クラピカの金髪に両の手を差し入れた。舌をからませ、 根元から舐めあげる。強く吸う度にレオリオの口から呻きがもれた。クラピカの頭が 揺れると腰から下がったベルトがカチャカチャと音をたてる。前を口で愛しながら手 を後ろにまわし、ズボンの中に這わせる。先端からしみ出す透明なものをクラピカは うっとりと舐め取り、再び強く吸い上げた。

「ーーー!」

レオリオは金髪をつかむと自身から引き剥いだ。荒く息をつきながらクラピカを膝へ 抱き上げる。

「ばか、でちまうだろ。」

かすれた声で言うときつく唇を吸った。荒々しいキスをしながらクラピカを自分の上 に跨がらせる。腰を片手で支え持つと、もう片方で固く閉じた入り口をまさぐった。 クラピカがびくんと震えた。レオリオの首に腕をまきつけ、じれて求めてくる。レオ リオはいきりたったものの先を入り口へ何度もこすりつけた。

「あ・・レオリ・・・オ・・」

声を震わせ、クラピカは腰をくねらせた。

「・・クラピカ・・・挿れたい・・・」
「・・・ん・・」

答えるかわりに、クラピカはレオリオの耳を口に含む。レオリオは腰を両手で抱え自 身の先にあてがうと、いっきに貫いた。クラピカが悲鳴をあげる。レオリオはかまわ ず奥まで突き進む。

「アア・・アア・・レオ・・リ・・・」

しなやかな肢体をレオリオにからめ、せつない声で名を呼んだ。
レオリオは腰を抱え上げては幾度も突き上げる。レオリオの上で揺れるクラピカの緋 の目が恍惚と見下ろしてきた。半ば開かれた唇からは悦楽の声がもれる。 レオリオの動きにあわせてクラピカは腰をうねるようにふった。

「クラピカ・・・クラピカ・・」

レオリオはうわ言のようにクラピカの名前を繰り返す。

「はぁっ・・あっ・・あああーっ」

こらえきれぬという風情でクラピカがレオリオにしがみついた。レオリオは細い体を 折らんばかりに抱きしめ、腰を激しく使う。

「いいのか・・・」
「・・あぁ・・あっ・・レ・・レオ・・・」

クラピカはレオリオにしがみついたまま、その首筋に歯をたてた。レオリオは荒い息 をしながら更に奥を責めたてる。

「・・もっと・・欲しいか・・クラピカ・・」

レオリオはクラピカの中に入ったまま立ち上がると数回激しく揺すった。

「はあぁっ・・」

クラピカが悲鳴のような嬌声をあげる。そのままレオリオはそれまで座っていた椅子 にクラピカを下ろすと上からのしかかって責めたてはじめた。 クラピカは椅子の背に頭をのせてのけぞる。レオリオはクラピカの片足を肩にかつぎ 、深く、浅く、愛のリズムを刻んでいく。汗と涙に濡れ、クラピカは四肢を震わす。 椅子が窓枠にあたってがたがたと音をたてた。 いつしかあたりには薄闇がおりてきている。地平の雲だけが、こんじきの最後の光を はなち、恋人達の影を浮かび上がらせていた。

「あぁ・・・もう・・・」

喘ぎながらクラピカはレオリオにすがりついた。レオリオの動きが激しくなる。汗を ほとばしらせ、二人はのぼりつめていく。

「ーーックラピカ・・・」

この世で最も愛おしい名を呼び、レオリオは最後の腰を深くつき入れた。

「ああああっ」

身をよじり、クラピカがはねる。数度、二人は激しく震えると、そのままぐったりと 椅子の背にもたれかかった。




__________




とっぷりと暮れなずんだ街は、とりどりの明かりを灯しはじめている。地平の輝きは すでに深い緋色に変わり、真上にいくにしたがって暗い群青色となっていた。

二人は黙って抱き合っていた。時折、夕風が髪を揺らす。レオリオがクラピカの素肌 に口付けた。

「寒くないか・・・」
「いや、お前が暖かいから・・・」

クラピカはほのかに微笑んでレオリオの頬に唇を寄せた。

「なあ、クラピカ」

レオリオがクラピカの目を覗き込んだ。

「おれが、そうだな、おれが医者になりそこなったりとかしてだな、絶望のあまりろ くでなしになっていたらお前どうする。」
「お前がそのくらいでつぶれる程繊細だとは思えんが。」

いたずらっぽくクラピカは笑う。

「真面目に聞いてんだ。」

レオリオが口をとがらせた。

「だから、おれがだな、昼間っから酒浸りとかだな、そういうろくでなしになってい たらどうする。」
「そうだな。」

今度はクラピカがひどく真面目な顔をした。

「ぶん殴って目を醒まさせるか。」
「それでもろくでなしのままだったら、どうする。」
「目が醒めるまでたたきのめすな。」
「それでもだめなら?」
「その時は・・・」

クラピカは真直ぐレオリオの目を見つめた。

「お前の側にいよう。」

レオリオは一瞬目を見開いた。クラピカはふいと横を向く。

「いちいちわかりきったことを聞くな。」

むすっとした口調で文句を言う。しかし、 薄闇のなかでも、赤面しているのがわか った。

「なあ、もう一度言ってくれ。」

レオリオは嬉しそうにクラピカを抱きしめた。

「いちいちわかりきったことを聞くな。」
「違う、その前だ。」
「・・・・・側にいる。ずっと・・・」

再び唇が重なった。レオリオが耳もとへ甘く囁く。

「クラピカ・・・ベッドへ・・・」


突然、ドアがノックされた。ゴンとキルアの声がする。

「レオリオーっ、クラピカ起きたー?」
「メシ食いにいこうぜーっ。」

ドアノブがガチャガチャひっぱられる。レオリオとクラピカは飛び上がった。

「あれ、鍵かかってるよ、キルア。」
「こーんな鍵、ちょろいもんだぜ。ま、みてろよ。」

カチカチと鍵をはずす音がする。クラピカの反応は素早かった。バスルームへ駆け込 むとドアをロックし、シャワーの栓をひねる。

「あ、てめ、クラピカ、自分だけ・・」

レオリオは椅子の前でおたおたするばかりである。
カチリと鍵がはずされた。ゴンとキルアが部屋へ飛び込んでくる。

「あれ、レオリオ?」
「何ごそごそやってんだ?」
「あ、いや、ち・・ちょっとな、クラピカにジュースこぼされたんで着替えを・・」
「この暗がりでかぁ」

あからさまに不審な顔をされ、レオリオはますます慌てる。そこへ、バスルームのド アが開き、クラピカが出てきた。

「どうしたのだ、レオリオ、明かりもつけずに。」

レオリオのバスローブをはおり、髪を拭きながらなにくわぬ顔で声をかけてくる。

「ク・・クラピカ、てっめーっ!!!」

 赤くなったり青くなったりしているレオリオには目もくれず、明かりをつけたクラ ピカはお子様コンビに微笑みかけた。

「食事にいくのか?着替えるので待っていてくれ。レオリオ、お前も着替えるのか?」
「クラピカが服汚したからって。」

ゴンが無邪気に答えた。

「自分の粗相を人のせいにするな。」
「なーんだ。やっぱ自分で食べこぼしたんじゃん。」
「ーーーー!!!」

着替えながらレオリオは、先にいっている、というクラピカの声と、案外お行儀悪い ね、というお子様コンビの会話をドアの外に聞いた。 汚れた服を乱暴にクリーニング用の袋に投げ入れると、大急ぎで3人の後を追う。

ゴンとキルアの後ろを少し離れて歩くクラピカに追い付くと、ぼそりと文句を言った。

「てめぇ、一人だけフロに逃げ込んだうえ、カギまでかけやがって。薄情もん。」
「無用の混乱を避けただけだ。お前がうろたえて入ってこないともかぎらんからな。」
「にしてもだ、何でおれが食べこぼしせにゃならんっ。」
「自分でまいた種だろう。つまらん言い訳するからだ。」

クラピカはすずしい顔をしている。よけいにレオリオはむくれた。

「さっきまで殊勝なこと言ってたくせによ。もう一度、同じことがおれに言えるかっ」
「言えるさ。お前の側にいる。」

意外な答えにクラピカを見つめる。クラピカがレオリオを見上げ、笑った。

「だが、自分のことは自分でしなさい、と言われなかっったか、『お母さん』に。」

思わずレオリオは吹き出した。クラピカも笑う。

「相変わらずかわいくねぇ。」
「お前好みじゃなくて悪かったな。」
「おれがおれ好みのかわいこちゃんに乗り換えてからベソかくなよ。」

レオリオがクラピカの手にに指をからめた。クラピカも握り返す。

「では、好みを変えろ。」
「とうの昔に変わっちまったぜ。」

前を歩くゴンとキルアはあきれたように囁きあった。

「あの二人、前よりなんか仲いいよね。」
「いいんじゃねーの。あれはあれで。」
「でも、あんな暗い部屋で何してたんだろう。」
「さあな、オレ達、お子様だからわかんねー。」

それから後ろを振り返ると、早く行こうぜと声をかけた。
レオリオとクラピカが早足で駆け寄り、二人をはさんで並ぶ。華やかなネオンに彩ら れたヨークシンの街に四人は歩み出した。



人はそれぞれの道をたった一人で進まねばならない。だが、つかのまでも穏やかな時 を共に過ごせる仲間を得ること、それこそが人生における至宝なのだろう。

そして確かに、四人はこの宝をしっかりと手にしていた。



おわり

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酔っぱらいシリ−ズ完結編でした。オフ本にはクラピカ編までしかのせてありません。これも表を読んでからじゃないと…。この完結編はウォンブルさんの裏サイトに捧げたものです。管理人めりさんのそりゃ〜あすばらしいクラピカさんイラストがあるんですよ。もう、綺麗なクラピカの素肌…わしらのこんなSSにもったいないイラストです。即,GOです、GO。

はじめて書いた裏SSってことでなかなか思い出深いものがあります。なんたって濡れ場9行だったのだ。そしたらすんげぇ怒られて、ここまで引き延ばした。もう、誉めて誉めて〜だってばよ。それでもたいしたことないんすけどね。うはは。