「あ〜、里の明かりだ。」 一緒に任務についていた上忍がぽつりと漏らした。 一週間の予定だった任務を五日で終わらせたオレ達は森をひた走っていた。小高い丘を越えると木の葉の里が見える。 「やれやれだね〜。」 走りながらオレも同意する。 里の明かりはいい。そこに待っていてくれる人がいるから。そう、オレもコイツも幸運なことに共に暮らす伴侶を得ていた。 大門をくぐったのは夜中を少し過ぎた時刻、報告は五代目に直接すればいいので明日にまわすとして、そのまま家へ真っ直ぐ帰る。イルカ先生はもう寝ているだろうか。 オレの伴侶は中忍でアカデミー教師のうみのイルカという。八年前、オレが上忍師に任命されたのがきっかけで彼と出会った。オレ達はすぐに恋に落ち、男同士だの教師の立場だの火影候補だのとごちゃごちゃ立ちふさがる障害をはね除け一緒に暮らし始めて七年だ。オレは今年で三十四、大蛇丸や暁の襲撃にあって大変な時期もあったが、今は里も落ち着いた。彼はアカデミーと受付内勤を中心に、オレは相変わらず上忍任務を請け負って、平穏な日々を過ごしている。 ただ困った事に、最近六代目に就任しろと外野がうるさい。特に綱手様は、平和になってまたぞろ旅心が沸き上がってきたらしく、本当にうるさい。オレはイルカ先生とのイチャパラな暮らしを邪魔されたくないので逃げ回っている最中だ。 ほんっと、ナルトを早く一人前にして火影にしなければ。いざとなったらシカマルでもいい。まったく、あいつらときたら、何をのんびりしているんだか。オレの先生にしてナルトの父親の四代目は二十代半ばで火影になったというのに、アイツらはまだまだ任務三昧の日々を送っている。 まぁ、難しい任務をまかせられるようになってきたし、落ち着いてきてはいるのだが、イルカ先生に言わせるとまだまだ甘いらしい。あ〜、早く火影をまかせられるようにならないと、オレ達のラブラブライフが邪魔されるんだけどねぇ。 ともあれ、オレは恋女房、というとイルカ先生が怒るけど、愛しい奥さんが待つ我が家の戸をそっと開けた。 夜更けだからやっぱりイルカ先生は眠っていて家の中は真っ暗だ。まぁ、帰還予定日は明後日だから、オレが帰ってくるとは思ってないだろうしね。 寝室を覗くとイルカ先生はキングサイズのダブルベッドに大の字で眠っていた。ゴーゴーと唸るようなイビキの合間にぷひょ〜、と小さな合いの手が入る。 くぅ、可愛い。 オレはもそもそとイルカ先生の側ににじり寄った。 夫婦生活がここまで長くなると、オレの気配や物音で目を覚ます事はない。新婚時代の、すぐに目を覚ましておかえりなさいを言ってくれるイルカ先生も可愛かったけど、こうして安心しきってイビキをかいている先生を見ると胸がほっこりと温かくなる。 だって、これってすごく信頼されているっていうか、お互い本当に夫婦なんだなぁって実感できるわけだし。 寝顔をじっと見つめていると、イルカ先生はむにょむにょと口を動かし、それからまたぷひょひょ〜、ってイビキをかいた。 うぅ、カワイすぎる。我慢できん。ちょっとだけ。 オレはぷひょぷひょ言ってる唇にちゅっとキスを落とした。 あ〜、一週間ぶりのセンセの匂いだぁ〜。もうちょっとだけ、だって一週間もセンセに触ってないんだもんね。 いや、正確には五日なんだけど、任務予定は一週間で、一週間ぶりだからちょろっとくらい触ってもいいってことで。 オレはイルカ先生のパジャマの中に手をさしこんだ。 ん〜、何度味わってもイイ、この感触。先生って吸い付くような肌してんのね、秘密だけど。 結構もち肌、色黒さんなのにもち肌なの。その下にしっかりと鍛えられた筋肉ついてるでしょ、なんかもう、見てよし触ってよしのパーフェクト、一度そう髭にノロケたらすごく変な顔されたけど、いいんだ。あんまり先生のよさを広めちゃったら横恋慕してくる輩がでないともかぎらない。 腹筋をなでなでしてたら、いつの間にかオレの手はぽち、とした胸の飾りに。あぁ、いかん、これ以上触ったら我慢が… うぅ、センセッたらやらしい、もう乳首たってるじゃない。爆睡してるくせなんなのもう。辛抱たまらん。 オレはイルカ先生のパジャマをはぎとるとぷっくりたちあがった乳首にむしゃぶりついた。んあ、とセンセから声があがる。ふふ、流石に目が覚めちゃったか。 「え、あっ、あれっ。」 まだ半分寝ぼけている先生は頭を起こしてきょときょとしている。ダメだよ先生、もしオレが敵だったら寝首かかれちゃうでしょ。 「イルカ先生、ただ〜いま。」 オレは乳首をはむはむしたままそう言った。 「カッカカシさん、いつお帰りに…あっ…」 きゅっと強く吸ったら先生の体がびくん、と跳ねた。もう片方の乳首を指で潰しながらオレはねろねろ舐め回す。 「ダッダメですよカカシさんっ…」 イヤイヤしながらオレの肩を押す力は弱い。ダメじゃないでしょ、先生だって溜まってるはずだよね。 案の定、手をパジャマの下に突っ込んだらもう勃ちあがってきている。嬉しくなってオレは先生のものを柔らかくもみしだいた。あぁ、と色っぽいため息が落ちてくる。オレは片手で先生のモノを可愛がりながら鎖骨をなめあげた。首筋に歯をたてるとあん、とまた可愛い声がする。 オレは先生を舐めるのが好きだ。首筋から耳までペロペロ舐めた。先生の息が荒い。頬をすりつけるとざらり、とした感触がした。 センセったら、オレがいないもんだからひげ剃り、ちょっとサボったでしょ。でもオレはこういうずぼらで抜けたとこのある先生が好きだ。ホントはめんどくさがりなのに、オレといたら少しでも身だしなみ綺麗にって努力するんだよね、先生は。こんなに長く一緒に暮らしているのに、そういうところは昔も今も変わらない。先生は秘密にしてるつもりみたいだけど、ちゃーんと知ってるんだから。オレはそんな密かにけなげな先生が好きだし、とにかく、無精髭だろうがすね毛だろうが、先生だったら何もかも大好きなんだから。 「あっあっ…カカシさん…」 先生の手がオレの背中にまわされた。 「はやく…」 先生が大きく足を開く。 くは〜〜、たまらんっ。 オレは体を起こすと先生のパジャマを全部はぎとり、ベッドサイドのローションを垂らした。 あぁ、一度中でイカしてね、その後ゆっくり愛してあげるから。 前を扱きながら先生の後ろの襞をぐにぐにと伸ばす。ふぅん、と色っぽい声があがった。潤んだ黒い瞳が早く早くとオレを誘っている。オレは指を突き入れかきまわした。先生の体がびくびくと震える。 えい、一挙に三本にしちゃえ。 バラバラと中で指を動かすと先生は良い声で鳴いてくれた。オレの方へ両手を差し伸べてくる。 「カカシさぁん…」 ブツ オレの理性はここでブチ切れた。下を寛げ息子を取り出す。もうビンビンに張ったソイツは先生の中へ入り込みたくて涎をたらしているじゃない。 オレもまだまだ若いね〜。 二、三度擦ってそり立たせるとオレは一気に中へ突き入れた。 あぁ、気持ちいい。先生の中は熱くて狭くて、オレを離さないって感じで締め上げてくる。あんあんと先生が声をあげて喜んでくれるから、オレは奥を目指して腰を突き出した。跳ねる先生の体を抱きしめ腰を振る。ぎゅう、と先生がしがみついてきた。同時に中もぎゅうう、って締まる。 うわ、たまらん。 目の前が真っ白くスパークした。ぶるっと腰が震える。サイコーに気持ちいい。 あぁ、センセはまだだね、オレの腹筋に硬くそりかえったセンセのモノを感じるよ。大丈夫、一度出して余裕でたからじっくりたっぷり先生のモノを… そのままふぅっとオレの意識は白く途切れた。 ん〜、明るい。何、ちゅんちゅん、ってスズメがうるさい。夜中だってのになんだろうね…って、あれ? ガバッ、と起きたら朝だった。ベッドに先生の姿がない。 うそっ、マジっ?オレ、あのまま寝ちゃった? バタバタと居間へかけこんだらラップのかかった朝飯が用意されていた。でもメモとかは何もない。 げっ、マズイっ、相当マズイっ。 急いで飯を食べ、シャワーを浴びて着替えて飛び出す。あ、もちろん、茶碗は洗ったよ。火影様への報告そっちのけでアカデミーに素っ飛んで行った。 「あ、おはようございます、はたけ上忍。」 廊下で顔なじみの職員に会った。たしか新採三年目の先生だ。丁度いい。 「あっあぁ、おはよ。えっと、うちの、職員室にいる?」 「えぇ、うみの主任は三時間目はたしか空きでしたから、いらっしゃると思いますが。」 それからその職員はくすり、と小さく笑った。 「ご一緒したほうがいいですか?」 オレがこんな風に直接職員室に入らない時は何かある、と皆、覚えてしまったらしい。新採三年目君ですら手慣れた対応だ。 「おっお願いできる?」 そしてオレはその好意にひたすら縋る。だってイルカ先生がメモのこさずに出勤するときって怖いんだもん。 「はい、承知しました。」 にっこり笑う新採君、あぁ、すっかり見切られてるなぁ、オレ。 おずおずとその職員の後ろについて職員室に入った。イルカ先生はたしか教務主任とかで机が入り口から一番遠いところにある。 「うみの先生、はたけ上忍がいらっしゃいましたが。」 机で書き物をしていた先生が顔をあげた。オレは新採君の後ろからひらひらと手を振る。 「え〜っと、イルカせんせ…」 「あ、カカシさん。」 にっこりと先生が笑う。 「随分お疲れだったじゃないですか。家で寝ていてくださってかまわないんですよ。」 あ、先生、そこまで機嫌わるくないかな、だったらいいけど… でも、オレの希望的観測は次の瞬間、粉砕された。 「ほら、あなたも年なんですから。」 に〜っこり満面の笑み。 「もう若くないのに無理しちゃダメでしょう?」 そしてつーん、とそっぽを向いた。そう、つーん、って音がするくらい。 やっぱ怒ってるぅぅぅ。 「いや、そのっ、違うんですイルカ先生っ、丸一日全力で駆け戻ってきたから、その、チャクラがですねっ。」 がばり、と机に取りすがるがイルカ先生はそっぽを向いたままだ。 「一週間を五日で終わらせてもセンセのとこに早く帰りたかったわけで、ちょ〜っと疲れてましたが今日はもうビンビンに元気ですっ。」 「いえいえ〜、若い時ならまだしも、もう年なんですし。」 にこにこ、つーん。 「大丈夫ですっ、このはたけカカシ、回復するときは早いですっ。今夜こそは絶対…」 「はっはっは、無理はいけませんよ、年なんですから。」 に〜っこり、つーん。 先生はそっぽ向いたままにこやかだ。うっわ〜、むちゃくちゃ怒ってるよこれ。 「せんせ〜っ。」 「オレも年でねぇ、夜中に無理矢理起こされると翌日に響くんですよ。」 「わ〜〜っ、ごめんなさーーいっ。」 「年ですしね〜、若くないですもんね〜っ。」 何があったか察したらしい他の職員達は火の粉が飛んで来ない距離でオレ達を生温く見守っている。 「イルカせんせ〜〜っ。」 「年寄り同士、無理しないようにしましょうね〜。」 満面の笑みとともにオレは職員室を蹴りだされた。うぅ、はたけカカシ、一生の不覚… それから三日間、マジで先生は触らせてくれなかった。うちのは怒らせると本当に怖いです、くすん。
え〜、あの〜、そのぉ〜、夫婦してます。そしてアカデミーの先生方はしみじみと呟くはずです。 「もうすぐ六代目火影様なんだよな…」 「まぁ、三代目も奥方には頭あがらなかったらしいし…」 「そんなもんだよ、夫婦なんて…」(実感こもる所帯持ち)