うみの隊長の恋人 2
     
     
 

「なぁ、春野っていったっけ、お前さぁ。」

下忍任務を終え、里まであと一日の行程を残して野営の準備をしているところへ、スリーマンセルを組んだ年上の下忍が声をかけてきた。

「写輪眼のカカシの教え子なんだって?」

ごわごわとした黒髪を逆立てた下忍は、年の頃十八才前後のひょろっとした男だった。つられるようにもう一人の下忍が寄ってくる。

「あ、オレも聞いた聞いた。写輪眼のカカシがはじめてとった生徒だって評判だったんだよな。」

こちらは同じ黒髪でも柔らかいくせっ毛の、なかなかの色男だ。年はやはり十七、八くらいか、成長しきっていないどこか幼さを残した下忍は、くるくるとした大きな目を興味深げに瞬かせた。

「しかもさ、下忍1年目で中忍試験、推挙してもらえたんだろ?」
「やっぱ上忍師が写輪眼のカカシだとスタートから違うよなぁ。」
「んで、写輪眼の口利きがあったから、五代目の直弟子になれたって。」

またか、と春野サクラは眉をひそめた。綱手の弟子となってから、この手の嫌味や嫌がらせが後をたたない。要するにやっかみなのだ。ふん、とサクラは胸をそらして二人の下忍を見据えた。

「そうよ。私が医療忍術学びたいってカカシ先生に相談したら、直接五代目に御願いしてみろってアドバイスされたの。」

なにが悪い、とばかりに顎をあげる。流石にサクラの不機嫌が伝わったのか、二人の下忍は肩を竦めた。

「そう尖んなよ。別に嫌味いってるわけじゃねぇんだ。」
「俺らが聞きたいのはぁ、アッチの噂の方。」
「…アッチ?」

怪訝な顔をするサクラに、二人は興味津々で問いかけた。

「ほら、写輪眼のカカシがアカデミーの中忍を情人にしたっていう。」

サクラの体が強ばった。だが、下忍二人は気づかずしゃべり続ける。

「俺らさ、処理班の手伝いやったとき、写輪眼のカカシがらみの任務でさ。それがもーすげー現場ってかさ、何人分だったっけ、人の体が裂けちゃってるわけ。」

「十人はくだらなかったって話、まぁ、ここだけの話なんだけどよ、結構ヤバイ場面だったらしくって、写輪眼がでっかい雷切り、敵のど真ん中にぶちかましたって。敵さん、一発でふっとんじゃって、俺ら、その後かたづけで非道い目あったんだよなぁ。」

柔らかいくせっ毛の下忍は何を思い出したのか、ぶるっと体を震わせた。逆立った黒髪のひょろりとした下忍は顔をしかめる。

「処理班の連中は必要なモン、回収したらもう仕事おしまいってんで、残った血まみれの体、全部俺らで処理してさぁ、たまらんっての、下っ端はよぉ。」

サクラは黙ったまま、冷ややかな目で二人を眺めた。血まみれの死体がなんだというのだろう、自分達医療忍者を志すものは、血まみれどころか、組織がめちゃめちゃになった体や毒にやられて腐敗した体を甦生させるため日々必死に訓練しているというのに。

そんな甘い感覚だから中忍試験も受けさせてもらえないのよ

この二人はアカデミー卒業後、三年がかりでやっと下忍になれたのだと言っていた。その時の上忍師から中忍試験の受験許可が下りないらしい。そのこと自体はたいして珍しいことではなかった。下忍になれるアカデミー生が一握りであるのと同様に、中忍試験を受けることのできる下忍もまた、その中のごく一部だ。九名も一度に下忍になり、中忍試験を受験したサクラの学年はむしろ異例だった。だがサクラは、侮蔑にも似た気持ちで先輩下忍を見つめた。連日繰り返されるやっかみや中傷にほとほと嫌気がさしていたからかもしれない。

「で、それが何?」

冷たく言い放つと、下忍二人は顔を見あわせた。ひょろりとしたほうが恐ろしげに声のトーンを落とす。

「そん時、俺らが死体処理してる向こうに写輪眼のカカシがいてさ、暗部と何か打ち合わせみたいなことしてんの。でもよ、十何人も切り裂いた後だろ?返り血で全身血塗れで、なのに平気な顔してんだぜ?里にいるみたいな感じでしれっとしててさ、血塗れのくせにだぜ?」
「信じらんねーよな、あの感覚。なんかもう化け物みてるみたいでさ、春野、お前、そんな感じしてなかった?」
「よくあんな化け物みたいな人が上忍師で平気だったな。こえーだろ?フツーはさ。」

サクラは次第に苛々してきた。カカシの人となりを何も知らないくせに、この二人の口ときたら、留まることを知らないらしい。

「それがよりによって、アカデミーの中忍、愛人にしたっていうじゃん。しっかも男だぜ?お前、アカデミーの、知ってる?うみのイルカっていただろ?」
「そうそう、俺らが卒業する年に新任で来た奴だよな。デカくてごつくて、あれでホモだぜ、写輪眼のカカシの愛人。なんかさー、どうなってんのってのが俺らの周りの意見でさぁ。」
「マジ、愛人なわけ?写輪眼のカカシって化け物みたいだけど、頭の方もイカレてんの?」
「中忍先生さ、もしかして無理強いされたとか?任務で伽やったからとか、強姦でもされた?」
「お前、受け持ってもらったんだろ?なんか聞いてない?その手の情報。」

ガシィッ、メキメキメキ

二人の下忍はぎょっと口をつぐんだ。春野サクラの横にあった大石がまっぷたつに割れて砕けている。拳を握ったまま、サクラはギロ、と二人を睨んだ。

「せっかく無事に任務終わったんだから、静かに寝なさいよね。それとも…」

砕けた石に手をかけたサクラは、今度はそれを粉々に握りつぶした。

「アタシの先生達の話、まだやりたいわけ?」
「…わ…わわわっ。」

下忍二人は大慌てで木の陰へ駆け去る。サクラはケッと吐き捨て、それから手近な木の根元にすとん、と腰を下ろした。

そう、カカシがイルカと付き合っているという話はサクラにも聞こえていた。去年のいつ頃からだっただろう、はじめてその噂を耳にしたときは、質の悪い中傷だろうと思った。五代目綱手に代替わりしても、有能さゆえに相変わらず秘書のような仕事をまかされているイルカには、羨みやっかむ連中がいるとわかっていたし、ましてや写輪眼のカカシともなると、羨望が高じて些細なことでも貶めようとする下賤な輩も多い。
だが、ほどなくそれが真実だとわかった時、驚きはしたが不思議と嫌悪感はわかなかった。ただ、その噂の質の悪さに辟易した。いわく、世渡り上手の中忍が火影だけでなくプライベートで写輪眼にとりいっているだの、なまじ優秀な忍だけに写輪眼はどこかネジがはずれて中忍を慰み者にしているだの。

「そんなわけないじゃない…」

膝を抱えたまま、サクラはぼそり、と呟く。心に浮かぶのは、穏やかに笑っている黒髪の教師と銀髪の上忍師の顔、そういえば忙しくてしばらく顔を見ていない。

会いにいこうかな…

里に帰ったらバレンタインのチョコの試作品をチェックしてもらう、とでも言って、恩師の家に押しかけてみようか。
見上げる如月の月は青く凍てついていた。








カカカッ、とクナイが地面に突き刺さる。飛び退いたサクラがいた場所だ。別方向から飛んでくる千本をはじきながら、サクラは起爆札をつけたクナイを八方に投げ、身を翻した。ドン、と派手な音が響き、煙が充満する。その間に仲間の下忍二人と合流した。

「走れるっ?」
「ダメだ、こいつが…」

くせっ毛の下忍が足に傷をおっている。だが、ここで治療する余裕はない。追っ手はそこまでやってきている。サクラはぐっと唇を噛んだ。

まさかこんなことになるなんて…

里近くに帰ってきたと警戒心が薄らいでいたのか、夜営していた場所は気がつくと抜け忍の一団に取り囲まれていた。相手は同じ下忍クラスだが多勢に無勢、しかも頭領は上忍クラスだ。下忍スリーマンセルでどうこうできるレベルではない。本来ならばとっくに殺されていただろうが、どうやらこの抜け忍達、遊ぶだけ遊んでなぶり殺しにするつもりだ。
明け方の月はすでに傾き、闇はますます深い。四方から気配が迫ってきた。ハッと背中合わせでクナイを構える三人に嘲笑するような声が降ってきた。

「いい加減殺っちまうか。」
「女は殺すな。」
「片方の男も可愛い顔してたじゃねぇか。」
「じゃ、あれぁお前にやるよ。」

なぶりものにされる。

ぞっと背筋に悪寒が走った。どうすればいい。目の前にざっ、と男達が姿を現した。恐怖で体が凍り付く。何の方策も浮かばない。ニヤついた男達の顔が迫ってくる。

嫌だっ。

サクラが身を竦ませたその時だ。闇の中にひゅん、と銀色の筋がはしった。と思うと、男達の首がころりと落ちる。

……え?

その場に殺到してきたはずの抜け忍達が、声もなく崩れ落ちていく。最後の一人の体が血飛沫をあげて転がる様をサクラは呆然と見つめた。その後ろに背の高い男が降り立つ。

「無事かっ、サクラ。」
「……イ…」

声が震えた。

「イルカ先生っ。」

恩師が駆け寄ってくる。

「イルカせんせい…」
「よし、よくがんばったな、よくがんばった。」

ぽん、と頭におかれた手の温かさ、安堵のあまり涙が出そうになる。後ろの二人も膝が抜けそうになっていた。だが、イルカは厳しい顔を崩さない。

「まだだぞ。まだ一番やっかいなのが残っている。」

サクラと下忍二人はハッとした。そうだ、上忍クラスの頭領が残っているのだ。

「イ…イルカ先生。」

声に不安が滲んだのだろう。イルカはにこっ、と笑みを浮かべた。

「大丈夫だ。策はある。」

それから、サクラに怪我をしている下忍を指し示した。

「サクラ、オレの話を聞きながら応急処置をするんだ。出来るな。」
「はいっ。」

まだ体は震えている。だが、恩師が側にいるというだけで、不思議と恐怖は消えていた。医療忍術はまだ半人前だが、応急処置くらいはなんとかなる。負傷した太股に手をかざしてチャクラを送り込みはじめたサクラにイルカは頷くと、力強い声で言った。

「いいか、敵にはお前達だけだと思わせておかなければならない。これからお前達は西へ四十五度、全力で走れ。一分だ、一分間だけ辛抱しろ。そうしたら後はオレ達でなんとかする。」
「うみの隊長。」

木々の間から声がした。イルカは何か目で合図を送ると、サクラ達に向き直った。

「一分だ。全力で逃げ切れ。」

それからイルカはふわり、と笑った。

「大丈夫だ。お前達ならできる。自信をもって逃げ切ってやれ。」

無言で頷くサクラ達三人にイルカはもう一度頷くと、小さく「行けっ。」と命じた。次の瞬間、イルカの姿は消える。それを合図にサクラ達は全力で走り出した。負傷した下忍の手をサクラともう一人の下忍が引っ張り上げる形でスピードをあげる。

『一分。』

後方から凄まじい殺気が襲ってきた。そのまま金縛りにされてしまいそうな殺気だ。事実、三人だけだったならば竦んで動けなくなっていただろう。だが、サクラ達の耳にはイルカの声が響いていた。

『一分間だけ辛抱しろ。』

殺気がすぐ側まで迫ってくる。サクラ達は必死で駆けた。

『大丈夫だ、お前達なら出来る。』

イルカ先生っ

息のかかる距離まで追いつめられた。

先生っ…

どん、と何かにぶつかった。というより、抱き留められた。びくっ、と顔をあげるとイルカの笑顔がある。

「…せんせい…」
「もう大丈夫だぞ、サクラ。」
「…え…?」

横を見ると、三十半ばくらいの男達が、やはり仲間の下忍を抱き留めていた。迫っていたはずの殺気は跡形もなく消えている。他の忍の気配もない。見上げるとイルカが目を細めた。

「がんばったな。えらいぞ、サクラ。」

そう言って頭をぽんぽん、と撫でてくれる。

「イルカ先生ーっ。」

張りつめていたものがぷつり、と切れ、サクラはわぁわぁと声をあげて泣いた。




☆☆☆☆☆



「へー、うみの隊長の教え子さんでしたか〜。」

三十半ばの男達は、イルカとよくチームを組む下忍だという。

「隊長、ちゃんと教師、やってたんだ。」
「何言ってやがる。オレは立派なアカデミー教師なんだよ。」

全力疾走したせいで出血がひどくなったくせっ毛の下忍の傷に包帯を巻きながら、イルカは憮然と言った。ある程度までサクラが傷を塞いだ。しかし、過酷な戦闘でサクラは疲れ果てている。もう帰るだけだから、とサクラを休ませ、イルカが後の処置をしているのだ。
森の空き地の窪みで一行は小さな焚き火をかこんでいる。抜け忍集団はイルカ達のトラップで全滅していた。なんでも、抜け忍達の不穏な気配に探りをいれていたら、サクラ達の帰還が重なることがわかり、急遽イルカが部下二人を連れて救援にかけつけてきたのだという。

「しっかし、こ〜んな可愛い教え子がいるんじゃ、そりゃ隊長、外に戻ってこねぇわけだ。」

小さな焚き火で沸かした湯に薬草をくわえながら、イルカの部下だという下忍が笑った。その下忍が、はい、お嬢さん、と薬草茶を入れた簡易コップをサクラに渡す。お嬢さん、いつもの自分なら反発を覚える言葉だ。だが、サクラは素直に受け取った。彼らにとって自分は確かにお嬢さん、に違いない。嫌味でも何でもなく、ごく自然にお嬢さんと口をついてでたのだろう。年季を積んだ下忍達の前では、サクラはただの子供だった。場数を踏み生き抜いてきた彼らの、風格とでもいうのだろうか、ちっぽけな自負やプライドなど消し飛んでしまうような存在感がある。薬草茶のコップをそれぞれに手渡しながら、下忍達はイルカの先生ぶりをからかっていた。三人の楽しげなやりとりを、サクラは不思議な気分で聞く。

「先生が隊長って呼ばれてるの、なんだか不思議。」

サクラはついぽろり、と言った。

「おいおい、そりゃないだろ、サクラ〜。」

情けなく眉をさげるうみの隊長に部下の下忍が腹を抱えて笑った。

「お嬢さん、こう見えて隊長、なかなかやり手でね。オレら、どんだけこき使われてきたやら。」
「そうそう、おかげで随分スキルアップしたよな。」
「うるせぇって。」

くせっ毛の下忍の手当を終えたイルカは、どかり、と腰を下ろすと、ニカッと悪戯っぽい顔になる。

「まぁ、こいつら、言いたい放題だが出来る連中なんだよ。」

親指でさされ、下忍達もにかり、と笑った。

「木の葉一の下忍っしょ?隊長。」
「で、隊長は木の葉一の中忍になるんスよね。」
「バババカっ、そんな恥ずかしいこと、言うんじゃねぇよ。」

カップに口をつけながら、サクラもふふ、と笑った。その時、黙りこくっていたくせっ毛の下忍がおずおずと口を開いた。

「あ…あの…」

ん?と向けられた視線から逃れるように顔を伏せ、小さく言う。

「そこのお二人は中忍試験、受けないんですか?」

それから畳み掛けるように続けた。

「オレらは、下忍になるのも三年かがりで、中忍試験の推挙さえもないです。でも、でも…」

口ごもった若い下忍に、イルカの部下の下忍二人はがりがりと頭を掻いた。

「いや〜、だってなぁ。」
「うん、そーだよなぁ。」

顔を見あわせ、苦笑する。

「オレらは中忍、なるだけのチャクラねぇし。」
「指揮官なんて向いてねぇし。」
「あ、オレも上忍、無理だしな。」

イルカが口を挟み、三人はへへへ、とまた笑った。

「目指せ、木の葉一の下忍魂っ。」

下忍二人が声を合わせ、ガッツポーズを作った。イルカもそれにならって拳を握る。

「んでもって可愛い伴侶と無事に迎える定年退職。」
「隊長っ、それ、違うっしょーっ。」
「一人ノロけてる〜〜っ。」

ははは、と笑うイルカ達につられて、若い下忍二人も笑った。
だが、サクラは己自身が恥ずかしくてたまらなかった。夜営準備をする時に、自分は何を思った。いくら当てこすりを言われたからとはいえ、中忍試験の推挙さえ受けられない下忍だと見下す気持ちがなかったか。ルーキーだのなんだのとともてはやされても、結局はこのザマだ。写輪眼のカカシの教え子であり、火影の直弟子だということに傲りを感じていなかったか。強くなりたいと思う。仲間の役に立ちたいと、その気持ちは純粋だ。だが、向上心と紙一重のところに、傲慢が潜んでいたのではないか。嫌味や当てこすりを憤る前に、無自覚な傲り高ぶりを戒めるべきだったのだ。
ふっ、と鳥の声が降ってきた。いつの間にか東の空が白んできている。

「お〜、もう夜明けかぁ。」

イルカが楽しそうに言った。

「綺麗だなぁ。」
「た〜いちょう、ロマンティストですねぇ、相変わらず。」
「うるせぇ、おめぇらも少しは情緒ってもんを身につけやがれっ。」

軽口を叩きながらも、大人達の顔は清々しい。

生きのびられてよかった…

心底、そう実感しながら、サクラは朝焼けを見つめていた。





☆☆☆☆☆






「んで、な〜んでアンタ達もついてくんのよ。」
「そう言うなよ、春野〜。」
「いや、春野の姐さんと呼ばせてくれ。」
「じゃっかわしいわ、年上に姐さん呼ばわりされる謂われないわよっ。」

サクラはチョコレートの試作品を持ってイルカ宅へ向かうところを、スリーマンセルを組んだ件の下忍二人につかまっていた。

「頼むよ、春野〜。オレらもイルカ先生にきちんとお礼言いたいしさ。」
「じゃあ、アンタ達だけで行きなさいよ。」
「そんな、恥ずかしいじゃないか。」

ひょろり、と背の高い下忍がガラにもなく照れている。くせっ毛の下忍もどこか恥ずかしそうに頬をかいた。

「それにさ、俺ら、アンタのこと、見直したっていうか、正直、やっぱ羨んでたんだよね。でもあの任務でアンタ、きっちり俺ら庇ってがんばってくれたろ?その漢気に惚れたんだよ。」
「だ〜れが漢ですってぇ〜っ。」

ビキビキビキ、とサクラのこめかみに青筋がたつのをみて、二人の下忍は大慌てでぶんぶんと手を振った。

「いや、そのっ、春野さん、すごく可愛いからっ。それに俺ら、春野さんと一緒でないとイルカ先生に面と向かって話しにくいし。」

だって、結構悪口言っちまったからさ、と二人はしょげた。無責任な噂話をしたことに、気が咎めるらしい。その項垂れぶりにサクラはふぅっとため息をついた。
あの任務の後、この若い下忍二人はすっかりうみの隊長に心酔したらしく、別れ際におどおどとしながらも言ったのだ。

『あっあのっ、俺達、うみの隊長のこと、イルカ先生って呼んでもいいですかっ。』

それを聞いたイルカは、二人に満面の笑みを向けた。

『おぅ、かまわんぞ。アカデミーにいないときは受付にいるから、顔見せにこい。』

はいっ、と答えた若い下忍達の顔はまるでアカデミーの生徒のようだった。こんなところがイルカ先生の人徳なんだろうなぁ、とサクラは密かに誇らしく思ったものだ。
そして今、自分にまとわりついてどうしても一緒にイルカ宅へ行きたいという。

「しょうがないわねぇ。じゃあ、付いてらっしゃいよ。」
「あっありがとうっ、春野の姐さんっ。」
「だからその姐さんって何っ。」

ガッとサクラが噛みつく前に、二人は前方のパン屋を指さした。木の葉の里でも美味しいと評判の店だ。

「じゃあさ、俺らの土産、あそこで買うけど、イルカ先生、何が好きかなぁ。」
「お昼時はすぎたけど、皆で食べられるよう色々買おうぜっ。」
「アンタらのお食事会じゃないでしょうがっ。」

浮き浮きとパン屋に入る若い下忍達についてサクラも中へはいった。せっかくだから自分用のクロワッサンでも買おうかと手にとると、くせっ毛の下忍がやはりクロワッサンだのスコーンだのをトレイにのせている。

「ちょっと。」

サクラはもう一つスコーンをとろうとした下忍を止めた。

「まさかアンタ、それ、イルカ先生に持っていく気?」

くせっ毛の下忍は大きな目をきょとん、とさせた。

「え、でも、俺の彼女、これ買ってくと喜ぶんだよ。」
「へ〜…彼女。」

こんな奴にも春は来てるのか、とむかついたが、そこはぐっと押さえる。そしてサクラは惣菜パンのコーナーを指さした。

「あのね、このタイプのパンやスコーンって、イルカ先生嫌いなのよ。このパン屋が開店したとき、一度ナルト…友達みんなで色んなパン買い込んで遊びにいったんだけど、ぱさぱさしてるって食べなかったの。男はど〜んと焼きそばパン、イルカ先生ってそういうタイプよ。」
「カレーパンに焼きそばパンだな。」

ひょろっ、とした下忍が早速トレイに惣菜パンをのせた。くせっ毛も慌ててあれこれみつくろっている。結構可愛いんだ、そう思いつつサクラは会計をすませ、外へ出た。
実は今日、イルカは休みだが、カカシは午後から任務が入っているとチェック済みだ。何故この日を選んだか、やはりイルカとカカシの色恋の噂が気がかりだった。二人の恩師が立派な人間であるとサクラは知っている。ただ、色恋というのはまた別物だということもおぼろげにわかっていた。だからどうしても、自分の目で確かめたかった。イルカの家に押しかけたからとて、何がわかるというわけでもないだろうが、とにかく行動せずにはいられなかったのだ。

「お待たせ、春野。」

山のようなパンを抱えた下忍二人を待って、サクラはイルカ宅へ足を進めた。歩きながらサクラはぼんやりと街並みを眺める。よく晴れた穏やかな日だ。冷たい空気にどこから漂ってくるのか、水仙の香りが混じっていた。

「なぁ、春野。」

ひょろりとした方が口を開いた。

「怒んねぇで聞いてくれよ。」

怪訝な顔をするサクラに、二人の下忍は何か言いにくそうに目を伏せた。

「写輪眼のカカシが春野の大事な先生だっての、わかってるんだ。でもよ…」

口ごもるひょろりとした下忍の言葉を受けるように、くせっ毛が顔を上げた。

「俺ら、やっぱり、あの血塗れで平然としていた写輪眼のカカシの姿が目に焼き付いてんだ。だから、もしかして噂がホントだったらどうしようって…」
「イルカ先生が無理してたらって、あんないい人が辛い思いしてねぇかって、マジ、心配になってきちまって…」

よけいなお世話だってわかってんだけどよ、と項垂れる二人にサクラは優しい笑みを返した。

「いいのよ、私だってそれ、確かめにいくんだから。」

それからサクラは首を振った。

「違うわ、私、今の自分が嫌なだけかも。里の噂なんか気にしてる自分をなんとかしたいだけなのかもしれない…」

ひょろりとした下忍が頷いた。

「でもさ、やっぱ春野にはいい先生なんだろ?写輪眼は。」

こくり、とサクラは頷く。冷たい風にのってふわ、と水仙が強く香った。



☆☆☆☆☆







「サクラ、よく来たな。おぉ、お前達もか。」

教員用アパートのドアを叩くと、紺色のトレーナーを着たイルカが出てきた。髪は頭のてっぺんではなく、下の方で緩く括っているだけだ。ナルトがいた頃のイルカは、休日でもきっちり髪を括っていたので、サクラはなんだか意外に思った。
あがれあがれ、といわれて居間にはいる。男所帯ながら、部屋はそこそこ片づいていた。中央にはコタツがあり、窓際には小さな緑の鉢まである。突然押しかけてすみません、と恐縮しつつパンの袋を差し出した下忍達に、イルカは、いや、かえって嬉しいぞ、と破願した。コーヒーでパン、食うか、と台所へ入ったところへ、サクラはからかうように声をかけた。

「へー、先生、結構ちゃんとしてるんだ。もっとちれてるかと思った。」
「おっ、失礼な奴だな。」
「だって〜。」

久しぶりの恩師の家では、ついアカデミー生のように甘えてしまう。台所から快活な声がかえってきた。

「まぁな、オレ、片づけ苦手で前は結構ぐちゃぐちゃだったからなぁ。」

えっ…

「でもほら、今はカカシさんがいるだろ、だからな。」

えぇぇっ。

「はっ春野さんっ。」

ギン、と居間の三人は顔を見あわせた。

「どっ同棲してるってのはホントみたいですねっ。」
「まままさか、片づけ苦手な人が写輪眼のカカシに命じられて部屋の掃除…」
「ちょっ…黙りなさいよっ。」

こそこそこそっ、としゃべっているところに、イルカが大皿に盛ったパンを運んできた。

「あ、イルカ先生、俺達がやります。」

立ち上がろうとするくせっ毛をイルカは座ってろって、と笑って制し、自分もコタツに入る。

「今、コーヒーはいるからな。」
「えっ。」

声をあげたのはサクラだ。そういえば、コーヒー豆の良い香りが漂ってきている。

「先生、コーヒーメーカーなんて持ってたの?いつもインスタントだったと思ったけど。」
「あ?あぁ、オレだけならインスタントでもかまわねぇんだけどな。カカシさん、結構こだわるから。」

なんですとぉぉー?

愕然としている三人の様子には気づかず、イルカはにこにことしている。

「へ…へぇ、結構こだわりあるんだ、カカシ先生って。」

硬直したままの下忍達にかわって恐る恐る相づちをうったサクラに、イルカは更に爆弾を落とした。

「そう、ああ見えて細かいところ、あるんだよ。オレがおおざっぱすぎんのかもしんねぇけど、ま、そのせいでしょっちゅう泣きをみてるな。」

泣きをみているーーー?

サクラまで真っ白に固まったところで、コーヒーメーカーが出来上がりの音をたてた。

「お、出来たか。」

イルカが立ち上がる。台所へ入った途端、三人はガッと顔を近づけた。

「写輪眼のカカシが無理強いしてるってのは…」
「やややっぱり、噂は本当…」
「バババカねっ、そっそんなわけ…」
「だって、泣きみてるって。」
「さー、食べるかー。」

恩師がコーヒーカップを運んできたので、ひそひそ話は打ち切られた。自分の好きなパンを取れよ、と取り皿を渡されながら、サクラはもう一度勇気を振り絞る。

「ねっねぇ、イルカ先生、あの窓際の鉢って…」

さっきから気になっていた。恩師が植物を部屋に飾るような人だとは聞いたことない。

「あれか?カカシさんのだよ。オレが鉢植え、飾るわけないだろ?」

ひ〜〜〜〜〜

やはりイルカは、私生活の全てを上忍への奉仕にあてているのか。七班にとって優しく頼りがいのあった上忍師は、また別の顔を持っていたのだろうか。かぎりなく現実味を帯びてきた噂話を思い出し、それを振り払うようにサクラはぶん、と顔を振った。

あれ?

コタツの上に見慣れた紙袋がある。というより、今買ってきたパン屋の袋だ。じっと見つめると、サクラの視線に気づいたイルカが、慌てて紙袋を持ち上げた。

「鼻が利くなぁ、サクラは。だが、すまんな、これはオレが食べなきゃいけないんでな。」
「食べなきゃいけない?」

ひょろりとした下忍が首を傾げた。くせっ毛が目をぱちくりさせる。

「中身、何なんすか?」

イルカは人差し指で鼻の傷をかくと、黙って袋を開けてみせた。中に入っていたのは…

「クロワッサンとスコーン…」

サクラが呟いた。ハッと下忍達は顔をみあわせる。それから、咳き込むように身を乗り出した。

「えっ、でも、イルカ先生、ぱさぱさして嫌いなんじゃないんですか?」
「なーんだ、サクラ、お前、しゃべったのか。」

イルカが肩を竦める。

「まぁ、本音をいえば好きじゃないんだがな、でもなぁ…」
「せっ先生、なんで食べなきゃいけないの?」

指先まで血が下がる。それでもサクラは答えを知りたかった。大好きな上忍師、優しく強い師がまさかそんなことまで強要するはずはない、だが、イルカの答えは絶望的だった。

「ん〜、カカシさんが買ってきたから。」

決定だ。やはり噂は真実だった。写輪眼のカカシのもう一つの顔、それは、中忍を無理矢理愛人にし、私生活の隅々まで支配する冷酷なものだったのだ。サクラは打ちのめされた。二人の下忍達はやっぱり、という顔をしている。

「イルカ先生…」
「だけどな、お前達、カカシさんには内緒だぞ、オレがクロワッサンとスコーン、あんまり好きじゃないってこと。」

あぁ、自分達は無力だ。真実を知ったからといって、大切な恩師の窮状を救うことも出来ない。

「絶対言うなよ。」
「……はい…」

こうやって頷くことしか出来ないのか。だが、きっと秘密がばれたら、非道い目にあわされるのだ。膝の上で拳をにぎり、三人は俯いた。たかがクロワッサン一つで恩師が泣くことになったらやりきれない。

「オレもなぁ、パンごときであの人に泣かれたくないからなぁ。」

そう、パンごときで恩師が…

「……は?」

「いやなぁ、ここだけの話なんだがな、もう、あの人ときたら、オレを喜ばせることになんか必死っていうかな。見ていていじらしいくらいで。」

「…………はいっ?」

思わず顔をあげたサクラ達の前で、恩師はでれっ、と相好を崩していた。

「可愛い人なんだよ、カカシさんは。ああ見えて繊細でなぁ。オレが色々気づいてやれないと、そりゃあ泣く泣く。」

泣くって、しょっちゅう泣きをみるって、もしかしてイルカ先生じゃなくて写輪眼のカカシのことーー?

唖然と見つめる三人の前でイルカはいそいそとスコーンを取り出した。

「このスコーンもさ、一度オレが朝、昼、飯抜きのとき、たまたま同僚が彼女に渡すんだって職員室に持ってきていてな、あんまり腹減ってたのと、彼女持ちにノロケられたのとで、半分取り上げて食っちまったことがあったんだよ。」

ジャムも何もつけず、恩師はがじがじとスコーンを囓りはじめる。

「それをあの人、見てたらしくって、次の日、これ、お好きでしょう、ってわざわざ買ってきてくれてさ。」

ごくん、とコーヒーで流し込むように飲み込み、イルカはでれっと笑った。

「なんていうか、その心根が嬉しいじゃねぇか。オレ、思わずありがとうございますって、そしたらあの人、すっげ嬉しそうに笑ってな。」

あの笑顔に惚れたなぁ、と恩師はどこかうっとりと宙に目をやる。

「それ以来、昼休みとか三時のおやつ時に時間があくと、あのパン屋で買ってきてくれるんだよ。今日だって任務あんのに、わざわざこれ、買ってきて。」
「……あ、だから春野にはあげられないって。」

ぼつっと呟いたくせっ毛にイルカはでれでれと答えた。

「そうなんだ。せっかくあの人がオレを喜ばせようって買ってきたもんだから。だからお前ら、秘密な、このこと。」

まぁ、慣れればうめぇもんだし、ともう一つのスコーンに恩師はかぶりつく。

何?これってノロケ?ノロケられてる?私達…

これ以上つついちゃいけない、サクラの本能が叫んでいたが、物事、きっちり見届けたい性格がそれを許さなかった。

「えっと、カカシ先生が結構こだわるって…」
「お前達は知らないだろうが、あの人、懲り性だぞ。お茶とかコーヒーとかいっつもあの人が淹れるんだけどな、そりゃあ絶品で、しかも料理も上手くてなぁ。だからあの人がいないと食事が味気なくて寂しいよ。」

料理、させてんのか、写輪眼のカカシにっ。

下忍二人はピキリ、と固まり、サクラはこめかみを押さえた。

「じゃ、イルカ先生、この部屋片づいてるのって、まさか…」
「カカシさん、掃除も手際いいからなぁ。ホント、天才っているもんだよ、や、自分の恋人、天才よばわりしちまった、はは、照れるな。」
「……いーえ、天才の呼び声は昔から高い人ですから…」
「そうかサクラ、お前もそう思うか。」

そうかそうか、とイルカはすっかりとろけている。どうやらとろけすぎて、ノロケているという自覚もないらしい。ニコニコしながら再びスコーンにかじりつこうとする恩師に、サクラはぽそっとアドバイスした。

「先生、それ、ジャムとかハチミツとかつけて食べること、多いみたいですよ。」
「あ?そうなのか?」

イルカはスコーンを二つに割ると、目の前のやきそばパンから焼きそばをつまみとってのせた。がぶっとかじりつき、うん、確かに違うな、と満足そうに唸る。

そうだった、この人、こういうタイプだったわ…

あっけらかんとして物事に拘らなくて、繊細さのかけらもないもんだから、年頃の女の子達からおっさん呼ばわりされて、そんなイルカが上忍に無理強いされる立場に甘んじるはずがないのだ。

「ぷっ…」

なんだか自分達の心配が可笑しくなった。思わず吹き出す。隣の下忍二人もなんだか可笑しそうに肩をゆらしていた。

「ふふ…」

笑う三人にイルカが、ん?と首を傾げる。それからパンの乗った大皿をさした。

「どうした、食べないのか。」
「はい、いただきます。」

それぞれが好きなパンにかぶりつく。

「美味しい。」
「うん、ここの、旨いな。」
「オレ、昼飯、ここに買いにこよう。」

なんだか、いい気分だ。そして本当に美味しい。イルカがにこにこしている。サクラは一つ食べ終わり、チョコの試作品をコタツの上に出した。

「先生、カカシ先生と一緒にこれ、食べて。」
「お?チョコか。」
「バレンタインだもの。」

サクラが言うと、イルカが目をぱちくりさせた。

「そうか…だからあの人…」

なんだか考え込むイルカを見て、サクラはまた吹き出した。おおかた、カカシがチョコを強請ったのにピンときてなかったのだろう。サクラに言われて初めてバレンタインを認識したらしい。

「ねぇ、イルカ先生、カカシ先生、いつかえってくるの?」

二つ目のパンを手にとりながらサクラは聞いた。

「あぁ、今回は予定がきっちりしているから、明日の昼にはかえってくるはずだが。丁度オレが受付に入っている頃かな。」
「じゃあね、先生。」

悪戯っぽくウィンクする。

「受付でカカシ先生にチョコ、あげるといいわ。きっとすっごく喜んでくれる。」
「そっそんなもんか?」
「そんなもん。先生、この際、先生達のラブラブっぷりを里中に知らしめるくらいやっちゃっていいのよ、ね、そう思うでしょ、アンタ達も。」

話をふられて下忍二人はパンを頬ばったままコクコクと頷いた。
そうだ、こんなに初々しい恋人同士をやっている二人なのだ。バカップルぶりが広まればくだらない噂なんか吹き飛んでしまうだろう。

まぁ、何もしなくても広まるんだろうけど…

さっきのイルカのノロケっぷりを思えば、時間の問題のような気もする。でも、変な噂はとっととなくなるにこしたことはない。コーヒーのおかわりを作りにイルカが台所へ立った隙に、サクラは下忍二人に囁いた。

「ね、私の先生達、素敵でしょ。」
「うん、そう思う。」

がしがしと頭をかきながら、下忍二人が苦笑する。ひょろりとした方がぽつっと呟いた。

「あの時、写輪眼のカカシは、単にきちんと任務を果たしていただけなんだなぁ。」

血塗れだのなんだのと、色眼鏡で見ていたのは自分達だった、そう肩を竦める下忍達にサクラはにっこりした。

「そうよ、なんたって私の先生なんだもの。」

さて、とサクラは気合いをいれる。この後、イルカを連れ出して、チョコを選ぶ手伝いをしよう。二人のとっておきのバレンタインに相応しいように、ここは腕の見せ所だ。そして、きっと明日になったら、今までとは違う噂が里中を駆けめぐるだろう。写輪眼のカカシとアカデミーの中忍先生は、木の葉一のバカップルだと。その時、もう一度自分は胸をはって皆に言うのだ。

どう、私の先生達、素敵でしょ。

イルカがコーヒーサーバーを持って居間へ入ってきた。

「ほら、おかわりいる奴、カップ出せ。」

かがみ込んだとき、緩く括っていた髪がぱらりとほどけた。黒髪が肩にかかる。

「おっと。」

首を振って体を起こした恩師に三人はぽかん、と口を開けた。なんというのか…

色っぽい?

イルカはコタツにコーヒーサーバーを置くと、髪をくくりなおした。頭のてっぺんではなく、首の後ろでゆるやかに。

「……ね、先生、その…」

なんとなくドギマギしながらサクラが口を開いた。隣の下忍二人もどこか顔が赤い。

「髪、そういう風に括るの、カカシ先生と付き合い始めてから…なのよね…?」
「あ?」

イルカは髪に手をやり、それからみるみる赤くなる。

「その…あの人が髪、下ろした方が好きだっていうから…」

やっとれんわーーーー

訂正、胸張ってこう言ってやる。

私の先生達、ほんっとにバカップル。

降り注ぐ2月の陽光までなんだか幸せ色に染まってる…サクラと若い下忍二人がずずっとコーヒーを啜る先では、やはり幸せ色に染まった恩師が柔らかな笑みを浮かべていた。


 
     
     
 

結局、無自覚にノロケるうみの隊長…そして翌日のバレンタイン、
受付所がバカップルのラブビームに汚染されまくかなんとか。
綱手様がバカップル禁止令を出すのは時間の問題ったとです…