欠くべからざる者2月22日
     
  欠くべからざる者シリーズのカカシさんが六代目になってますv  
 


六代目はたけカカシの治世では里の外部との交流が盛んであった。風影の姉を奈良一族の跡取りの伴侶に迎えたことをきっかけに他里との婚姻も結ばれるようになり、特に有力一族同士の婚姻で各国の関係も安定してきた。木の葉には様々な文化や技術がもたらされ、結果ますますの隆盛をみせている。ただ同時に、文化、慣習の違いから揉め事も頻発するようになっていた。

そんなある年の2月22日、六代目火影から直々に里人への提案があるとの通達がなされた。時間の取れる者はこれから広場に集まってほしいという。普段から里人との交流を大事にする火影であるが、直接の提案があるとは、しかも急な呼びかけ、重大事項に違いない。仕事も何も中断して取るものも取りあえず人々は皆広場に集まった。
丁度、広場の時計が午後二時を告げる。六代目火影が広場を見渡せるバルコニーに姿を現した。いつもは口布をしている火影が今日は珍しく素顔だ。火影の正装である白い長衣姿だが笠はかぶっておらず、逆だった銀髪が冬の陽をはじいていた。相変わらずのイケメンぶりにあちこちからほぅ、とため息が漏れる。

「忙しい時にみんな、ごめーんね」

飄々としていながら威厳のある声が広場に響いた。

「今日皆に集まってもらったのはね、最近の木の葉のことなんだけど、うちもいろんな地域との交流が盛んになって随分と発展してきたよねぇ」

六代目のおかげだぞー、とあちこちであがる声に火影はにこにこと頷いて応える。

「ただね、文化や習慣の違いって奴?色々あるじゃないの。それが原因でトラブルも増えてるのね」

確かに、ささいな食い違いが大きなトラブルに発展したり出身地同士の小競り合いになったりとの問題が持ち上がっている。

「トラブルの大半はねぇ、ちょっと立ち止まったら解決できそうなことが多いのね。だけどそれが大きなトラブルになっちゃうって、それはちょっとマズイでしょ。で、思いついたんだけど」

火影は大きく両手を広げた。

「皆も知っての通り、今日、2月22日だーよね?この日は猫の日ってなってるじゃない。ペットフード協会の思惑かなんか知らないけど、2ばっかりでニャンニャンね。ニャンニャンといえば猫、だけどね、ニャンニャンの意味はそれだけじゃない」

ぐっと胸を張る。

「2にちなんで我が木の葉でも2月22日を特別な日としたい。つまり、2からニャンで猫を連想するように」

己の美貌の効果を知ってか知らずか、六代目は美しく微笑んだ。

「ニャンニャンのもう一つの意味、つまりエッチ…はがぁっ」
「2をニャンニャンではなくニコニコと解釈し、2月22日を笑顔の日としたい、というのが六代目様の意向ですーっ」

黒髪の火影補佐官、うみのイルカ中忍が六代目の言葉をぶった切るように現れたかと思うといきなり卍固めをかけた。皆が唖然とする中、六代目をがっちりホールドした補佐官が太陽のような笑顔で言った。

「つまりですね、無理やりにでも笑顔を作れば気分もかわり、譲り合いの気持ちがうまれるのではないか、2月22日を笑顔の日とし、一日笑って過ごすようにすれば小さなトラブルからなくなっていくのではないだろうか、笑顔の日をきっかけにお互いを理解しあう糸口がみつかればいい、それが六代目様のご意向です。実際、最新の脳科学によりますと、表情筋を笑顔の形に動かすだけで脳内で分泌される物質が変わるのだそうです。だからこその笑顔の日、現に御覧ください。一介の中忍であるわたくしが不敬にも火影様のお体に卍固めをかけているというのにお怒りにもならず笑顔でいらっしゃる、すでに六代目様は実践によって笑顔の効果を皆様にお示しになっておられるのです」

おおおー、と広場がどよめいた。トラブルを減らすために笑顔の日を制定しその効果を火影自身が示そうとしている、卍固めでギリギリに締め上げられているというのにあの六代目様の明るい笑顔、里の安寧のため我が身を削る火影の姿に人々は胸をうたれた。黒髪の補佐官が満面の笑みで体勢を変える。

「ほぉら今度は逆エビ固めだぁ、それでも六代目様、笑顔が眩しい、流石ですー」

どよめきは次第に歓声にかわった。

「万歳、火影様万歳」
「六代目万歳」

逆エビ固めを食らいながらも火影はにこやかに手を振って応えている。満面の笑みで補佐官がさらなる技をかけた。

「くらえ、極楽固めーっ」
「バンザーイ」
「火影様ばんざーい」
「六代目様ばんざーい」

響き渡る歓声、木の葉は今、確かに一つになった…




「みたいですね」
「うむ、相変わらず見事な手腕だな」
「はい、さすがうみの先輩です。補佐官に就任なされてからますますキレが出てきて」

五代目とオレ達受付職員一同、柱の陰で様子をうかがいながらホッと胸をなでおろしている。

「六代目様がニャンニャンでエッチに励む日にしようなどと言い出した時にはどうしようかと思いましたが」
「火影になってもあのバカは治らんな。統治の手腕はピカイチなんだがねぇ」

五代目はため息をつくと我々受付職員に向き直った。

「カカシと一緒に盛り上がったバカ二人はどうしている」
「猿飛上忍とガイ上忍はヒラマサ先輩が罠で捕獲しました」
「そうか。しばらく放すんじゃないぞ」
「はっ」

気を付けをするオレ達に五代目は深く頷いた。

「木の葉の外聞はお前たちの双肩にかかっている。今後も上忍達の暴走を抑え六代目を支えてやってほしい。それから」
「わかっております。七代目候補が暴走しないようこちらは春野上忍が目を光らせております」

うむ、と五代目は頷きながらこめかみを揉んだ。

「なんであぁも似たもの師弟になったかねぇ」

五代目はオレ達一人一人の肩を叩きながら力強くおっしゃった。

「うみのをはじめお前たちこそが我が里の欠くべからざる者達だ。しっかりやってくれ」
「はっ」

六代目様の元、発展する木の葉を陰から支える「根」となることを受け付け職員一同、思い新たに誓い合った2月22日だった。



 
  うみの補佐官殿、卍固めをやりながらおそらくは小声で「笑えオラ、笑わねぇと別れんぞゴルァ」と脅したと思われ…
うみのイルカ中忍、補佐官になってますますなめらかに口が回るようになったとか。