夕暮れに目をつぶる


沈んでいく夕陽がまぶしいから
恋人の目が、夕陽の朱に染まるから

朱に染まった瞳の恋人は
オレをおいて行ってしまうから




めしいのように
オレは手を伸ばす

恋人の温かい手がオレの杖

これがないとオレは一歩も歩けねぇ
マジ、大マジ歩けねぇ
進めねぇ
生きられねぇんだ


お前、オレを買いかぶりすぎ

オレ、ホントはひ弱なんです

そう大まじめにオレは言った
目をつぶったままの大告白

ふっと恋人の息づかいが
オレの横にやってきた





「レオリオ、転んでもしらんぞ。」
いや、オレ、お前に転んでるし


「いい加減、目を開けろ。」
無駄無駄、オレは誰の指図も受けねぇの


「私を見てはくれないのか?」
そんな手にはのらねぇぜ






って、目をこじ開けようとするなーっ
ホントに目ぇ見えなくなったらどーすんだっ



思わず開けた目の前で
恋人が楽しそうに笑っていた

深い、藍色の瞳をして
夕暮れ時の、中天の色をして

夕暮れ時の西の空は朱
夕暮れ時の中天は深い藍色
オレ達の真上は深い藍色

だったらまぁ
目をつぶらなくてもいいのかもしれない

「お前が私についてくればいいだけの話だろう。」

はい、おっしゃるとおりで
ってか、よくおわかりで
オレのこと



それからオレ達は、手を繋いで家へ帰った
茜色の夕空に染められながら


(たまにはレオ君も不安に押しつぶされるみたいです)