そりゃあ綺麗な絵本だよ。
いい話だしな。
ああ、おれだってそう思うさ。
そこまでひねくれちゃいねぇ。


どんな話かって?
内気な熊さんが森の動物たちとお友達になるっつーかな。
まぁ、早い話、勇気をだしてよかったな〜、つーかな。



ただな、




なんでお友達になるためのアイテムがたんぽぽコーヒーなんだ。


「たんぽぽのコーヒー、一緒に飲みませんか。」


だぁっ?
あぁ?


フツーにお茶じゃだめなのかよ。
森にはお茶屋がねぇってか。
お茶の木くらいあんだろー。
摘んで来い、摘んで。
いちいち、たんぽぽの根っこ、とってくるんじゃねぇ。
だいいち、めんどくさいだろうが。
掘って根っこだけ洗って干して炒って粉にして
どんな手間だ
そんな手間かけるほど旨かねぇだろ

てか、絵本の中でたんぽぽコーヒーの作り方、レクチャーしてんじゃねぇっ




そしてだな、
ケーキはフツーのケーキを食え、フツーのっ。


なんでにんじんケーキだ
なんでわざわざにんじん入れるんだ。
小麦粉とバターとミルクで十分旨いだろうっ
余計なもん、入れるんじゃねぇ、
何度も言うぞ、

なんでにんじんだっ
木苺とかじゃダメなのかよっ
っつか、森ににんじん、あんのか、だいたい





「レオリオ、コーヒーがはいったぞ」
「おっおぅ。」
「今日もにんじんのケーキだ」
「……おっおぅ…」

オレの可愛いクラピカさんはだな
すっかり絵本に影響されて
柄にもなくオレのためにケーキ作ってくれてだな
それがしっかりにんじんケーキなわけよ
フツーのケーキにな

刻んだにんじんがはいってんだよ
千切りだ、千切り

「まだたくさんあるからな、遠慮せずに食べろ」
「…おぅ……」





にんじんケーキのレシピもついでに書いてくれてたら、レオ君、嬉しかったな
贅沢言わないからさ


っつーか、いつオレが贅沢を言った
ツラ出せ、くぉら



「旨いか?レオリオ。」


うおおっ、いちだんと笑顔がまぶしいぜ、スィートハート



恋人とすごす三時のお茶は
幸せなにんじん色をしていた、こんちくしょーっ



(外国人のホームパーティで、旨くねぇ手作りケーキを完食しなきゃいけないときほど、辛いことはない。テイスティって褒めなきゃいけないときはもっと辛い…)