恋人のいる朝、

目覚めるとコーヒーをいれてくれる

コーヒーを飲む習慣なんぞなかったあいつが
オレのためにコーヒーをいれてくれる


レオリオ

そう優しく名前を呼んでくれて
オレはそれだけで世界中の誰よりも幸せになれる


あぁ、きっと
現金なオレは
たとえそれが一杯の水であっても
あいつと一緒に朝が迎えられたら
ただの水でも
それでいいんだ
それだけで幸福な朝になるんだ








…誰だよ、たんぽぽコーヒーなんぞ考え付きやがったヤツは



そしてどいつだよ、オレのクラピカにたんぽぽコーヒーは体にいいってふきこみやがったのは




たんぽぽの根っこ、干して炒ったヤツがコーヒーになるわきゃねぇだろっ
てか、カフェインはいってねぇじゃねぇか
カフェインはいってねぇくせコーヒー名乗るんじゃねぇ



コーヒーと変わらぬ風味でしかも体に優しい、だぁ?
あぁっ?

キャッチフレーズかいたヤツ、面だしやがれ

オレの可愛いクラピカさんはだな
田舎で育ったせいでだな
のびのび可愛い笑顔してやがんだがな
ソイツにオレはやられっぱなしなんだがな

いや、オレのクラピカがいかに可愛いかってこたぁこの際問題じゃねぇ

問題は、あいつはコーヒーだの茶だの、嗜好品の味にえらく疎いってことなんだよ

しかも、たんぽぽだのおおばこだの
野草の根っこを干した味ってのは
ある意味あいつのふるさとの味なんだよ





この間も、オオバコの根っこの話、してたしよ




頼む、贅沢はいわねぇ
朝のコーヒーは一応コーヒーって種類の植物から作ったものに限定してくれ

豆を挽くなんてしなくていいから
インスタントでいいから
もう、水でも湯でも飲んでやらぁ




「レオリオ、コーヒーがはいったぞ。」
「…おっおぅ。」
「今日は少し贅沢してみた」
「あ?」
「○甲の天然水を使ったんだ。」
「お…おぅ…」
「う〜ん、やはり、水がいいと香ばしさがたつのかな。」




うおっ、今朝も笑顔がまぶしいぜ、マイハニー

オレ、○甲の天然水だけ飲みたいです、



とはとても言えねぇ
言ったら半殺しにされる、断言できる
笑顔の綺麗なオレの恋人は、そりゃあ気が荒いんだって


そしてオレは
雑草の根っこの煎じ汁を
今日も朝から飲んでいる

恋人の笑顔を眺めて
恋人のいる朝の幸福を噛み締めて
それだけを噛み締めて



幸せだぜ、ちくしょーーっ




(かつてくじらさんの美麗モーニングレオリオイラストを見てふっと浮かんだ話でした。今頃こんな形で小話になろうとは…あの美麗イラストに失礼だぜ、こんちくしょー)