私は何か間違ったか?

大きな傷は自分で塞いだし、折れた骨だってもうつないでいる。
擦り傷まで治してしまうとかえって不自然だと判断したから、ある程度の傷は残した。
服の破れは、これはしかたがない。
傍目からみて、そんなにひどくはないと思うのだが。

わからん男だな、レオリオ。
何故お前がそんなに苦しそうな顔をするのだ。
それとも、どこか本当に痛いのか?

だが、そう問いかけたらひどく怖い顔になった。


「オレが痛いわけねぇだろうがっ。」


だから、何をそんなに怒っているのだ。

もう一度聞いたら、ますます怖い顔になった。


「怒ってねぇよっ、ほらっ、腕出せ、腕っ。」
「いたたっ、しみるっ。」
「うるせぇっ、だったら怪我するんじゃねぇっ。」
「かすり傷だぞ?」

うわ、何故ここで悲しそうな顔をするんだ。
せっかく明るく笑ってやったのに。

「だからレオリオ、かすり傷だ。」
「…あぁ、わかってる。」

それきり黙って、消毒液を塗ってくれる。
しかし、なんてしみる薬だ。
傷口に塗るとシュワシュワ泡がたつじゃないか。
薬の選び方をもう少し考えるよう進言しよう。



…何故お前が痛そうに顔を顰めるんだ。


もしかして、本当に具合でも悪いのか…


そういえば、センリツが教えてくれたおまじないがあった。
痛いときに使うのだそうだ。
おまじないなど、子供じみたものを信じているわけではないが
気休めにはなるだろう。


「レオリオ、こっちを向け。」


なるべく厳粛に
重々しく
ありがたみがあるように




「いたいのいたいの、とんでいけ。」



ついでに頭を撫でてやった
ありがたく思え

ん?なんだ、変な顔して
おまじない、間違っていたのか?


「うわっ、レッレオリオ?」


いきなり抱き寄せるな。
だいたいまだ治療中じゃなかったのか。
レオリオの肩が震えている。

「笑うな、馬鹿者。」

そこまで笑うことはなかろう。

「失礼な男だ。」
「…あぁ…わりぃな…」

まだレオリオの肩は震えている。
やはり私は間違ったのかもしれない。
しかたがないから、背中をぽんぽんさすってやった。


いたいのいたいの、とんでいけ


☆☆☆☆☆
レオリオも苦労します。クラピカさん、ニブすぎ…